竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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おいしい野菜づくりは種を埋める前の土の手入れから始まります/今春、区民農園で
おいしい野菜づくりは種を埋める前の土の手入れから始まります/今春、区民農園で

「コンビニ百里の道をゆく」は、50歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 新型コロナウイルスの感染者数は日に日に増加し、8月5日現在、都内で1万4200人を超えています。ローソンでも引き続きお店、本部双方で感染防止に努めながら営業を継続しています。

 私自身も、4月以降は遠方への出張は控えており、飛行機や新幹線にもほとんど乗っていません。長い間、日本、中でも東京に居続けるのは社会人になって初めての経験です。平日はリモートワークを駆使し、週末は車や徒歩で行ける範囲のお店を回っています。遠方のオーナーさんたちとはオンライン会議などで意見交換をしています。

 1時間、2時間と歩いていると街(マチ)の様子がよくわかります。たとえば、緊急事態宣言が明けた5月末には、それまでとは違い、夕方から居酒屋で一杯やっている方々を見かけたり、都心にも人が戻っているのを実感したり、いろいろなお店で今売れているものを実感できたりしました。

 実際に自分の足で歩くことで本当の街の動きに気づくことができます。街歩きは今も継続しています。

 また、プロのすごさにも新たに気づかされました。

 会食控えやリモートワークの影響で、私自身も料理をする機会が増えました。料理はもともと好きなので、「よし作るぞ!」と借りた区民農園で自作した野菜を使っていろいろと挑戦するのですが、好きにも限界があります。日頃何げなく訪れているそば屋さんや中華料理屋さんには、それぞれにプロのこだわりがあり、自宅で容易に再現できる味ではない。何げなく暮らしていた社会ですが、その道のプロの集合体が社会で、「本当に素晴らしいなあ」と改めて実感したりしています。

 気がめいりそうになる時もあるニューノーマルでの生活ですが、制限があるなかでも新しい発見や喜びに気づき、心身ともに健康に乗り切っていきたいと思っています。

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

AERA 2020年8月24日号