業界3位の大王製紙のトップ・井川意高(もとたか)会長(47)が"電撃辞任"した。正式な手続きを経ずに関連各社から約84億円を借りておいて、同社の調査に使途を明かさないことも問題視された。使途を言えないのはどんな後ろめたさ故なのか--。
2007年6月に42歳の若さで社長に就任、今年6月から会長を務めてきた井川氏は、もともと創業者の孫だった。現役で東大法学部に進み、卒業して大王製紙に入った。
同社の元幹部が語る。
「創業家2代目で今も最高顧問の高雄氏が溺愛し、若いときから『帝王学』にこだわって工場勤務も経験させていた。学生時代の恋人と結婚して1男2女に恵まれたが、高雄氏も『ゴルフの付き合いもトコトンやりなさい』という考えで、その教えどおりに芸能人や政治家など、様々な業界の方と付き合ってましたよ」
10年ほど前には、週末に東京・六本木のバーによく出没していた。
元常連客が振り返る。
「お金持ちと若い女の子を出会わせる形態のバーで、芸能人や暴力団の客が多かった。井川さんはビシッとしたスーツ姿であまり人とつるまず、一人か水商売系の女と二人で来る。シッポリとドンペリを飲むのが好きで、しかも足フェチ。店が空いてると女のストッキングを破いてソファに押し倒し、太ももや膝のにおいを嗅ぐこともあった」
女性だけでなくギャンブルにも励んでいた。カジノに詳しい人物が語る。
「彼が30代の頃にカジノに来るのをよく見ていた。何億円か負け、恐喝のような目にも遭って父親にバレ、怒られて四国の工場に飛ばされたと聞いた。社長になって自由になるお金が増えたのか、東京に戻ってからはマカオやラスベガスのカジノによく通っていて、使うお金も大きくなっていった」
今回の問題の発覚時点で84億円のうち55億円が未回収で、大王製紙は刑事告発の可能性も示唆しているが、情報収集に当たる捜査関係者はこう頭を抱えているという。
「実は井川の使途不明金の一部は役人にも流れた可能性があります。その中には警察のキャリア官僚も含まれる。井川には『いざというときの用心棒』との下心があったようで、警察官僚を高級クラブで接待したうえにカネまで貸していたという話も聞いている。当の官僚本人は『彼は大勢の人を連れて飲み歩くのが好きで、自分は取り巻きに紹介されて何度か飲んだだけ。東大の先輩・後輩の人脈で自分よりも親しく付き合っていた役人が他にいた』と抗弁していて、実際に井川と親しく付き合っていた官僚が他にもいるようです」
未回収金は父親の高雄氏らが保有株式などによって返済する意思を示しているが、不明金の使途の全容解明にはまだ時間がかかりそうだ。 (本誌取材班)
