「素材はいいのに、迷走している。彼も迷っているんでしょう」(出版関係者)

 帰国子女の慶応卒で俳優、難病を抱える人気歌手の絢香と事務所の反対を押し切って結婚し、小説を書けばポプラ社小説大賞で大ベストセラー。マンガに出てくるようなデキすぎ男、水嶋ヒロ(27)だが、最近は小説の題名よろしく「かげろう」化しているようだ。

 小説『KAGEROU』上梓後の水嶋の活動といえば、音楽ユニット「GIRL NEXT DOOR」の音楽ビデオの原作・脚本を手掛け、出演もし、携帯総合サイト「モバゲー」の新CMキャラクターになり、本誌(3月18日号)でも報じた新雑誌「GLOBAL WORK」の編集長も務め──と、自身で肩書を「表現者」と称するように、マルチに才能を発揮している。

 が、100万部を超えた小説に比べると、それぞれの反応は地味である。新雑誌について、先の出版関係者はこう語る。

「1冊300円と安く、売り上げは悪くはない。ファッションブランドのタイアップ案件で、悪い商売でなかったので次回もやろうという話にはなっています。ただ、名編集者の斎藤和弘氏を編集顧問に迎えているものの、中身は水嶋と編集プロダクションで相談しながら決めたせいか、どこかで見たようなページの寄せ集めでバラバラ。編集にかかわった人間も、この話題になると苦笑いする出来です。実際、発売後もさして話題にもならず……」

 テレビ局関係者も、最近の水嶋をこう評する。

「白っぽい金髪にヒゲで、これまでのイケメン俳優とは違う『クリエーター』な雰囲気をアピールしてますが、正直、格好を奇抜にされても、女ウケが悪くなるだけではないかと(笑い)。本人の発言は誠実だけど、事務所の辞め方や、突然の文学賞など、"ワケアリ物件"に仲間入りして扱いにくい印象です」

 水嶋の公式ホームページを見ても、今後の活動について特に記載がないが、

「小説の次回作は書いているようですよ。ただ、1作目があれだけ売れた上に酷評もされたので、プレッシャーはあるでしょうね」(別の出版関係者)

 ちなみに先の音楽ビデオは、6月に日本で開かれる「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」に出品される。そこでグランプリをとれば、米アカデミー賞のノミネート選考対象になるという。

 小説大賞の次はアカデミー賞、か? (本誌取材班)

週刊朝日

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