実は私は、自分にファンがつくのが非常に苦手で、演者にファンをつける戦略の適性がありません。自分で手がけるのは、コンテンツにファンをつけるチャンネルばかりです。ですが、プロデュースやコンサルをしているチャンネルは、「演者にファンがついている」チャンネルが多いです。彼らがキャラクターを演じるように、イメージから外れた企画をしないように、ハンドリングするのもYouTubeプロデューサーの仕事の一つです。

 一方で、演者にファンがつくと、大変なことも多いです。街を歩いていても声をかけられたり、視聴者に見られているので、イメージを崩すような言動や対応はできません。そのストレスは、非常に大きいものです。お仕事としてきっぱりと演者を演じることを分けた方が、楽になる部分も多いです。YouTubeで顔を出して活動し、多くのファンを抱えると、私生活に干渉することが大きくなります。

 最近、インターネット番組に出演されていた方が自殺で亡くなりました。若い子が自ら命を絶つことは、人の親として本当に悲しいです。彼女の死の理由はわかりませんが、リアリティー番組という企画は、特にフィクションとリアルの境目がぼやけやすい企画です。演者の方々も、「演じている自分」と「本当の自分」の境目がわからなくなると、精神的に非常に追い詰められることがあります。「本当の自分」はどんな人物で、何を考えているのか、を明確に把握して見失わないようにしないと、ファンや視聴者が見ている「演じている自分」に飲み込まれてしまいます。この葛藤は、アイドルや役者の方も抱えることが多いです。だからといって「素の自分」を出すと人気がなくなってしまうので、演じ続ける必要があります。

 本当の自分や自我を受け止めてくれる、理解してくれる家族や、親しい友人や、演者をしている仲間、マネージャーなどが、しっかりと支えていなければいけません。演者が成功するためには、周りの協力も必要だと感じます。番組やYouTubeの制作をする際は、演者のサポート体制も必須だと思います。

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