「今年、カナダの金鉱山大手企業の株式を米ドル建てではなく、カナダドル建てで購入したことがヒントになりそうだ」。こう分析するのは、相場研究家の市岡繁男さんだ。「米ドル建てを避けたのは、緩和政策でインフレ・リスクが高まり、ドル安を見込んでいるためだと思います。バークシャーは昨年から今年にかけて円建て債を発行し、6千億円超の資金を円建てで調達。株価が安く、配当利回りが高い商社株に投資すれば、それだけで十分な“利ザヤ”を稼げる。バフェット氏の関心が変わった可能性があります」

 米銀行株や航空株を手放し、投資の対象をサービスからモノへ、さらには米国以外の銘柄に注目しているようだ。「商社は海外の鉱山の運営や農産物ビジネスも手がけています。海外ではバッタの大量発生や洪水の被害で食糧危機に陥りかねない状況もあり、商社の事業の価値が高まる可能性がある」(市岡さん)

 とはいえ「『商社株買い』がイコール『日本株買い』になるとは限りません」(同)。今回の動きで、日本株全体が見直されることになるかは未知数だ。(本誌・池田正史)

週刊朝日  2020年9月18日号

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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