
新型コロナで変わった日常を前に、ストレスや不安から戸惑いもがく親子も多いだろう。どう向き合えばいいのか。4児の母親として、子どもたちを間近で見てきたタレントの辻希美さん(※辻の字は1点しんにょうが正式表記)がエールを送る。AERA 2020年9月14日号から。
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なんで外に行けないんだろう、なんで学校に行けないんだろう、なんで友達といっしょに遊べないんだろう──。
緊急事態宣言が出されたころ、子どもたちの心の中はたくさんの「なんで?」でいっぱいだったと思います。外出ができるようになった今も、不安な気持ちは消えていないでしょう。
このコロナ禍の中で、親御さんたちも今までにないストレスを感じていると思いますが、子どもはきっと親以上に感じていると思うんです。言葉にできず、自分自身も気づいていないストレスに心が追い込まれてしまっている。
小4のうちの長男も、休校中に家で勉強したくないから、自分の鉛筆を折ったり消しゴムを切ったりしたことがありました。私が「もう1本あるよ~(笑)」と言って新しい鉛筆を差し出すと苦笑いしていたので、深刻なものではなかったけれど、この子なりに大変なんだなと改めて知る出来事でした。
この数カ月で子どもたちの意識は大きく変わりました。外出するときにはマスクをすすんでするようになり、1歳の三男ですら自分から手のアルコール消毒をします。そういう姿を見ると、この先、世の中の当たり前も変わっていくんだなと思わされます。
当然ながら感染予防はとても大切なことです。でも私は、コロナ禍で子どもたちの行動が制限されすぎて、いろんな経験が浅いまま大きくなってしまうことをとても心配しています。うちの4人の子どもたちは1歳から12歳まで年齢がばらけていますが、それぞれに、「外で思いきり遊びたい」「大切な人に会いたい」というような思いがあるはずです。その気持ちをセーブしすぎることなく、ちゃんと素直に今の自分の感情と向き合って、親と共有しながらこの状況下でできることをして過ごしていってほしい。