■広い視野で世界を見て

 親としては、とくに思春期の子には「ダメ」と言うことが一番ダメだと思っています。「いいよ」と言う必要はないんです。信頼して、共感するだけでいい。社会的にダメなものはダメだとしても、どこかに共感できる部分や、わかってあげないといけない部分があるなら、そこでつながっていればいいのかなって。

 世の中が混乱している今、「どんなふうに将来を描けばいいんだろう」と不安や恐怖を感じている子もたくさんいると思います。もしかしたら、何もかもが上手くいかず「自分なんて生きている意味がない」と思い詰めてしまうことだってあるかもしれない。

 ただ、絶対に独りぼっちではないし、夢中で取り組めることや自慢できる何かがきっと見つかると思うんです。だから、全部イヤになってしまったときは、一回冷静になって自分のことをよく見つめてください。

 でも、その“何か”を持つには努力も必要で。同じ目標を持つ友達を作ったり、目指す場所に身を置いたりするためには、自分から行動を起こさないと難しい。待っていてもなかなか来ないんです。

 だからこそ、今自分に足りないものをすべて周りのせいにするのではなく、決して自分を独りぼっちだと思い込まず、広い視野で世界を見てください。コロナ禍の今、より強くそう思います。

(構成/編集部・藤井直樹)

AERA 2020年9月14日号

★AERA 2020年9月14日号では、辻さんの他に、絵本作家のヨシタケシンスケさんや元小学校教諭の渡邉信二さんらにもインタビュー。コロナ禍でストレスを抱える子どもたちとどう向き合うべきか、取材しました

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