また、先の調査で「体重が増加した」と回答したのは、小学生で36.9%、中学生で37.4%、高校生で34.9%もいた。
埼玉県在住の男性(40)の小学3年の息子は今年3月から2カ月半で6キロ増え、38キロになった。「やばい」と思ってネットで成長曲線を調べると、身長は標準よりやや高いぐらいだが、体重はカーブの上にはみ出していた。
もともと太りやすいので水泳教室に通わせていたが、3月から3カ月間休みになって運動の機会がなくなってしまった。さらに休校中は間食も増えた。
「緊急事態だから、他に楽しみがないんだし、と目をつぶってきたが、これだけ体重が増えると不安になる」(男性)
小児肥満に詳しい獨協医科大学特任教授の有阪治医師によると、子どもは毎日成長しているので、体重が何キロ増えたら異常なのかを判断するのは難しいが、年齢と平均体重の関係を示した成長曲線図に照らし合わせて、体重増加が平均的カーブから外れた場合は気をつけたほうがいいという。
子どもの運動量が減ることで肥満が増えることは、原発事故後に外遊びができなくなった福島県で報告されている。また、ストレスにより甘いものや脂肪分の多いものを欲しがるようになることや、間食の頻度が増すというデータは世界中で確認されている。外出自粛やコロナによるストレスが子どもの食行動に変化を起こしているとも考えられる。
■ダイエットは禁物
その上で有阪さんは指摘する。
「肥満は改善しても、動脈硬化や心筋梗塞(こうそく)などのリスクが高くなります。子どもの場合は、この負の影響が長く残る怖さがあります」
だからといって子どもにダイエットやカロリー制限は禁物だ。
「行きすぎたダイエットは子どもの正常な成長を妨げ、骨密度の減少や脳の萎縮などを引き起こしてしまうので絶対にお勧めできません。子どもの肥満は、生活習慣を見直し、身長が伸びることを利用して解消していきます」(有阪さん)
医療機関を受診する目安は、標準体重に対して実測体重が何%上回っているかを示す「肥満度」が30%以上の場合。これも成長曲線で確認できる。肥満が進むと血液検査の値にも異常が出てくるので、かかりつけの小児科で相談してみたほうがいい。(編集部・深澤友紀)
※AERA 2020年9月14日号より抜粋