感染していないのにクラスで「コロナ!」と呼ばれる――。学校が再開された今、教育現場で「コロナいじめ」への懸念が強まっている。AERA 2020年9月21日号で掲載された記事から。
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「コロナって言われたの……」
先日、神奈川県に住む主婦(45)の小学3年の娘(8)が、泣きながら学校から帰ってきた。
聞くと、授業中にマスクをしていてクシャミをしたところ、休み時間になって同じクラスの男子から「コロナ、来るな」などと言われたのだという。主婦はただちに学校に相談した。担任の教師は、「コロナ」と言った男子に悪意はなく、冷やかし程度のものだったと説明。クラスでいじめはいけないと話をすると約束してくれたものの、主婦は釈然としない。
「言われた娘は傷つきました。根本的な解決にはならないと思います」
■ストレスでいじめ増加
新型コロナウイルスの影響で例年よりも短縮された夏休みが終わり、新学期には対面での授業を再開した学校も多い。そうした中、コロナに関連した「コロナいじめ」が問題になってきている。
教職員の約9割が、今後いじめが増えると懸念している──。
8月下旬、そんな調査結果が報告された。調査を行ったのは、NPO法人「共育の杜(もり)」(事務局・東京)。同法人は7月、東京、大阪、福岡など緊急事態宣言が出された7都府県を中心とした国公私立の小中高校などの教職員にインターネットを通じ「今後、子どもにとって予想される事態」アンケートを実施。1200人近くが回答し、「今後いじめが増える可能性が高いと思うか」の設問に、「とても」(52.2%)、「まあまあ」(36.5%)と、「思う」が88.7%に上った。
この結果を、同法人の藤川伸治理事長はこう見る。
「学習の遅れを取り戻すための詰め込み授業や感染症対策と称した子どもたち同士の触れ合いの制限、熱中症対策のため屋外で身体を動かす機会も減り、子どもたちにストレスがたまる一方です。そのはけ口として子どもはいじめに走ってしまう、と教職員は感じているのでは」