ただ、もうからない銀行同士が一緒になっても意味がない。そこで、商工リサーチの原田さんは「異業種提携」が必要だとする。地銀にはプロデューサー機能が求められているという。例えば静岡銀行は銀行の枠を超えた提携に積極的だが、「具体的に新しい事業モデルを考えているところは少ない」(小出さん)。

 こうしたなか、菅首相と交流のある北尾吉孝氏が社長を務めるSBIホールディングスの地銀提携が注目される。北尾氏は「国家戦略である地方創生に貢献すべく、さまざまな取り組みを進めている」とし、地方創生にかなうベンチャー企業への投資などを進めている。

 地銀へのサポート体制を築くために設立したSBI地銀ホールディングスのもと、すでに4行と資本業務提携を締結。近く最大10行程度まで広げる意向だ。新政権発足を追い風に、地銀再編の“台風の目”としてSBIが存在感を増すかもしれない。

「中小企業や地方の経済は苦しい。何とか立ち直れるような対策を打ち出してほしい」

 栃木県を地盤に電設資材の工事などを手がける中堅企業の幹部は嘆く。積み残しの受注で4~6月期の売上高は前年同期並みだったが、春以降は新型コロナの影響で工事中止や建設の延期が相次いだ。営業活動もままならず、21年3月期は前年に比べ売上高が少なくとも1割減となり、営業利益は3割減る見通しだ。

「コロナが収束しなければ回復のメドが立たない」(同社幹部)のは、この会社に限ったことではない。(本誌・池田正史、浅井秀樹)

週刊朝日  2020年10月2日号より抜粋

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