皆川明(みながわ・あきら)/1967年、東京生まれ。デザイナー。95年に自身のファッションブランド「min? perhonen」の前身となる「min?」を設立。手描きによるオリジナルのテキスタイル、丁寧な縫製など独自の服作りが支持を得ている(撮影/写真部・張溢文)
皆川明(みながわ・あきら)/1967年、東京生まれ。デザイナー。95年に自身のファッションブランド「min? perhonen」の前身となる「min?」を設立。手描きによるオリジナルのテキスタイル、丁寧な縫製など独自の服作りが支持を得ている(撮影/写真部・張溢文)
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 AERAで連載中の「この人この本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。「書店員さんオススメの一冊」では、売り場を預かる各書店の担当者がイチオシの作品を挙げています。

「ミナ ペルホネン」の創設者でありデザイナーでもある皆川明さんが、『生きる はたらく つくる』を刊行した。「せめて100年つづく会社にしたい」とスタートさせ、今や押しも押されもせぬ人気ブランドとなった「ミナ ペルホネン」。著者の皆川さんが、生き方と仕事哲学を語る。

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 手描きを基本とした独特のテキスタイル、吟味され、協力工場と共に開発された素材、国内での丁寧な縫製で人気を集めるミナ ペルホネン。大切なのはすぐ捨てられるのではなく、長く愛され受け継がれる服を作ること。そんな皆川明さん(53)の哲学が生まれた源流を解き明かそうとしたのは、読売文学賞受賞作家・編集者の松家仁之(まついえまさし)さんである。

「松家さんとは以前からの知り合いでしたが、いろいろお話ししているうちに、僕がデザイナーになるまでのことに関心を持ってくださったんです。10回のインタビューで合計17時間。するすると記憶の紐が引っ張り出されるように思い出されてきて、自分を振り返る良い機会になりました」

 本書のインタビューが行われたのは新型コロナ騒ぎ以前のこと。だが、結果的に今、社会が注目しているテーマに深く関わる内容となった。

 子どもの頃熱中した泥団子作り。駅伝選手だった中学時代。両親の離婚。輸入家具会社を経営していた祖父母から学んだこと。人生を変えたパリやフィンランドへの旅。服作りをしながらアルバイトした魚市場での体験。エピソードの一つ一つが、服作りへと収斂(しゅうれん)されていく。

「創業者は会社の中で一人だけ。その人間の欲求がどこへ向かうかということはとても大事なことです。だけど創業者は駅伝に例えれば1区の走者でしかない。タスキをつなぐという点ではどの区の走者も大切です。その考えから離れないようにしようと思っています」

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