内館牧子さん(左)、くさか里樹さん
内館牧子さん(左)、くさか里樹さん
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「ケアママ!」の蔵野たからと一人息子の勝利、早乙女千陽
「ケアママ!」の蔵野たからと一人息子の勝利、早乙女千陽
対談は東京と高知を結ぶリモートで実施=撮影・高橋奈緒(写真部)
対談は東京と高知を結ぶリモートで実施=撮影・高橋奈緒(写真部)

 三田佳子さん主演でドラマ化もされた『すぐ死ぬんだから』がコミックになって今夏に刊行されました。漫画にしたのは本誌連載「新生ヘルプマン ケアママ!」の作者・くさか里樹さん。「ケアママ!」単行本刊行を記念して、“人生100年時代”をどう生きるか、『すぐ死ぬんだから』の著者・内館牧子さんと語り合ってもらいました。

【イラスト】「ケアママ!」の蔵野たからと一人息子の勝利、早乙女千陽

前編/プロレスラーはヘルパー向き? 内館牧子&くさか里樹「介護の面白さ」を語る】より続く

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くさか:内館さん原作の終活小説『すぐ死ぬんだから』のコミック版(潮出版社)を描かせていただきましたが、内館さんが書かれる文体が、キレがあって、小説のセリフを全部使いたくなるんです。それが入りきらないのが悔しくって。

内館:2巻の巻末の漫画で小説の言葉を紹介していただきました。

くさか:使いたかったセリフの一部を抜き出しました。コミック版で原作の面白さを知っていただけたら、小説もぜひ読んでほしいです。

内館:「すぐ死ぬんだから」も「ケアママ!」も、これからの高齢者の生き方がひとつのテーマだから、共通する部分もありますよね。

くさか:少子高齢化も進んで、そういったことに注目が集まるようになってきていますしね。若いころには対岸の話だったことが、私自身も身近な話になってきました。

内館:たとえば80歳ぐらいになると、生きることに貪欲(どんよく)な人もいるんだけど、そうではなくなる人も多い。「すぐ死ぬんだから放っておいて」って言って、どこに行くのでも、それこそお葬式にもリュックになったり。

くさか:びっくりですよね、お葬式にリュックは。

内館:黒い服は着ていくんですけれど、リュックを背負って、ぼさぼさの頭を隠すつもりか量販店で売っているような帽子をかぶって。そうなると、気持ちも含めてすべてが“リュック仕様”になっていく。

くさか:そこは私もちょっと耳が痛いかもしれません(笑)。家で「引きこもる」仕事をしていると、ついついリュック仕様になりそうで。「すぐ死ぬんだから」を描かせていただいて、普段からちょっとしたことでもきれいにしていようと思いました。

内館:私も「内館さんって、偉そうなこと書いているのに、実際はぐちゃぐちゃよ」って言われると困るから、近所のコンビニに行くだけでもクシ入れて眉だけは描かなくちゃって(笑)。

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