現代社会の闇にメスを入れ、脳科学の視点からわかりやすく解説することに定評のある中野信子さん。中野さんが経験した愛すべき“東大生の闇”に作家・林真理子さんも興味津々。
【脳科学者・中野信子が説く「毒親」の正体 理性を失わせる「親子の絆」がイヤだなと】より続く
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林:正直な話、中野さん、東大出身ともなればそれなりの学歴の人としか接点ないでしょう?
中野:でも、趣味を通じて出会う人は学歴とかあまり関係ないんですよ。例えば、射撃を今年はもう少し頑張ろうと思ってるんですけど……。
林:えっ、射撃?
中野:クレー射撃をやってるんですよ。初心者ですけどね。本当は狩猟をしたくて、イノシシを捕って食べたりしたいので始めたんですけど、急所をはずして逃げられてしまうことがいちばん可哀想。だから、まずはスキルを高めようと思ってクレーを練習しようと。スキューバダイビングもするんですけど、これも交友の範囲が広がって楽しいです。
林:へぇ~。本の中に「世間の人は、たぶん私のことを変わり者と思って見ていただろう」という一行があったけど、子どものころはちょっと変わってると思われてたんですか。
中野:自分では、変わっているとはまったく思わないんですが、みんなが「変わっている」と言うので、ああ、それなら変わっているのかな、と思ってましたね。
林:孤独だったのね。
中野:話が通じないな、とは思っていましたね。小学校の6年間だけ茨城県にいたんですけど、大体みんな農家さんの子どもだから、種なしスイカのつくり方なんて興味あるに違いないと思って、種なしスイカのつくり方についてしゃべると、みんなポカ~ンみたいな顔になっちゃって、ああ、どうしようと思ったり。
林:高校は東京に戻ってきたんですか。
中野:戻ってきて、そこは進学クラスがあるところだったので、話が通じるかどうかというよりも、成績がいいことのほうが重要視されるので、気楽ではありましたね。