■一番はジャニーさん
――デビュー以降躍進は続き、5人のメンバーはそれぞれが映画やドラマ、バラエティー等、ソロでも大活躍している。
岸:初々しい少年だった頃のメンバーを知っているので、大人になって堂々とソロの仕事をやっている姿を見ると、単純に「すごいな」と思います。メンバーの自分が知らない姿を見ることで、親目線になってしまうんですよね。僕、おじさんになったんですかね(笑)。みんなが成長していっている姿が感慨深いです。
僕自身はどこが成長できたかはわからないのですが、周りのメンバーが頑張っている姿を見て、自然と「自分も頑張らなきゃいけない」と思うようになりました。King & Princeになったことで、「成長したい」というマインドを持てたことが一番大きいと思います。
ジャニーズ事務所に入る前、中学生の頃の僕は「だるい」が口癖のダメ男でした。その頃の僕に会ったら、ひっぱたきたくなると思います。根本的に変われたのは、いろいろな人と出会えたからです。メンバーからもファンの方々からも、出会ったすべての方から影響を受けています。一番の大きな出会いは、間違いなくジャニーさんです。それについて話すとなると、いくら時間があっても足りないくらい。
――アイドルとして、俳優だけでなく、歌、ダンス、バラエティー、オールマイティーに活躍している印象がある。
岸:オールマイティーにやれている自覚は全くないです。でも、自分の中でその時々のカテゴリーによって、ギアを入れ替えてシフトチェンジしているような感覚はあります。そして、目の前のことに思い切り力を注ぐ。
前は何をするにもガチガチだったんですが、良い意味でだんだん肩の力が抜けてきた気がしています。ガチガチになると脂汗がたくさん出てくるので、「これは良くないな」と。今はだいぶリラックスできるようになりました。
■食レポに自信あり
――「さまざまな仕事の中で、特に得意だと思う仕事は?」と聞くと、少し間を空け、いたずらっ子のような表情を浮かべ、「食レポです」と力強く答えた。
岸:食べ物が本当に好きなので、みんなが「食べたい!」って思うようなコメントが自然とできている自信があります。何なら、一番得意なんじゃないかと思っています。
――では、自分はどんな表現者だと捉えているのだろうか。
岸:自分だけで何かをするというよりは、現場の温度をしっかりと汲み取ることで生きるタイプだと思っています。僕は本来、いろいろなことを考えてしまうタイプなのですが、何事も現場で感じることが大切だと思っているので、何も考えない状態に持っていくのが大変なんです。でも、きちんと空気を感じられるような状態にすることで、表現したいことが良い感じに外に出ていく。いつもその時その時のお仕事に一生懸命なのですが、今改めて考えてみると、「人を楽しませたい」という気持ちが根本に強くあるんだと思います。
(ライター・小松香里)
※AERA 2023年2月6日号