「『1番ショート吉川』で固定したい。吉川の出塁率が飛び抜けて高ければ多くの得点が可能となるため、確実性と長打力を併せ持った山田の1択になるだろう。チーム全体で攻撃に力を入れて『打ち勝つ野球』を採用できる。逆に出塁率が平均並ならば、二塁手には守備力も必要になって来る」

「加えて状況によっては進塁打など、繋ぎの打撃もできなくてはならない。広島で長年、2番打者として起用されてきた菊池という選択肢も出て来る。広島と昨オフに複数年契約を結んでいるが、両球団の思惑次第で状況は変化する。どちらにせよ吉川のパフォーマンス次第な部分もあり、現状では決めかねているのではないか。巨人編成担当は頭が痛いと思う」(巨人担当記者)

 吉川の活躍次第という部分もあるが、2人に対する評価も周囲を悩ませている。山田の打撃、菊池の守備に関しては、それぞれ最上級のものでNPB屈指の実力を誇る。しかし走攻守すべてをトータルで考えると、すべてにおいてパーフェクトな選手とは言い難い。実際2人ともメジャー願望が強かったが、米球界関係者の評価はそこまで高くなかった。

「山田の打撃は素晴らしい。長打力と確実性を備えていて適応力も高く、米国でも平均以上の成績は残せるはず。守備に関しては米国ではかなり下のランクになる。人工芝に慣れていて打球を待ってしまうのが致命的。菊池は逆に守備に関しては、米国でも平均以上の評価。身体能力も高く打球勘が良く肩も強い。ただし打撃に関しては非力で、自らの重心を球にぶつけるスタイルなので確実性も低くなる。コロナ禍で各球団とも経営的に苦しく、契約も厳しくなることが予想される。(山田に関して国内での移籍となれば)巨人、ソフトバンク楽天などが得策だと思う」(MLBアジア地区担当スカウト)

 一部では山田のヤクルト残留可能性も取り沙汰される。菊池に関しては将来の幹部候補として広島に腰を据えるのではという声もある。昨年暮れには、推定3億円の4年契約を結んだ。しかし両球団が合意さえすれば、契約期間中でも移籍自体は可能だ。広島は過渡期に差し掛かりつつある中、思い切って若手有望株獲得という選択肢もあるのではないか。

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積極補強の巨人は今オフも主役に?