「七五三」という名字を見たら大半の人は「しちごさんさん?」と聞いてしまうだろう(イラスト/桔川伸)
「七五三」という名字を見たら大半の人は「しちごさんさん?」と聞いてしまうだろう(イラスト/桔川伸)
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 名字を聞いてびっくりした経験は誰でもあるでしょう。今回は、知らないと読めない珍しい名字にまつわる漢字のうんちくを紹介します。実在するかどうか不確かなものもありますが、なるほどと思う由来を楽しんでください。

【表】これは読める? 読み間違いやすい大学一覧

*   *   *
1.四月一日(わたぬき)
~春に綿入れの着物から袷へと衣替え

 日付に独特な読みを当てている名字です。「四月一日」は、春になって暖かくなるこのころに、綿入れの着物を脱いで袷(あわせ)へと衣替えをすることから、「わたぬき」と読むのです。「四月朔日」などとも書きます。もともとは「綿貫」だった人々が、これらの字を当てたといわれています。ほかに、「六月一日」は瓜の実が割れるころなので「うりわり」、「八月一日」は旧暦で稲を収穫し稲穂を積む時期なので「ほづみ」と読みます。

2.京(かなどめ)
~いろはかるたは最後に「京」で終わる

 かるたが由来になっています。かつての「いろはかるた」は、地域によって内容が異なりましたが、江戸や上方では最後の札が「京」です。「いろはにほへと」で始まり、「ゑひもせす」で終わった後に「京」がつくのです。そこから、「京」で「かな」が「終わる」ので「かなどめ」と読むようになったといわれています。ちなみに、いろはかるたの最後になぜ「京」がつくのかはわかっていません。

3.月見里(やまなし)
~山がないと月がよく見える

 甲斐国の山梨氏が分家の際に用いた当て字が由来です。「やまなし」を「山無し」とし、山がないと月がよく見えることから「月見里」の字が当てられたのです。山梨は本来、「山成し」が由来で山が多いという意味でしたが、当て字をくりかえすうちに、真逆の意味へと変わってしまったのです。

4.一口(いもあらい)
~出口が一つしかないと芋洗い状態になる!

「一口」は、出口が一つということです。出口が一つだと、人が大勢いるときなどはいわゆる「芋洗い状態」になることから、「いもあらい」と読むのだといいます。京都には「一口」と書いて「いもあらい」と読む地名があります。かつて三方を池に囲まれ、出口が一つしかなかったことから「一口」と表すようになったと考えられています。読みは、水害による疫病などが多かったことから「忌(い)み」を「祓(はら)う」という願いを込めて「いみはらい」とし、のちに変化して「いもあらい」になったともいわれています。

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