宇垣:びっくりしてたのかな。「受ける」と言ったら、みんな「宇垣が受けると言ったんだから、たぶん受かる気でいるんだろうな」みたいな感じでした。だから、受かってもさしてびっくりはしてなかったかな……。
林:ほぉ~。そういうキャラクターだったの? 朝のワイドショーとか見てても、すごくニコニコして、育ちのいいお嬢さんという感じで、そんな男気があるようには見えなかったですよ。
宇垣:あれはディレクターと私がつくり上げた私で、私そのものではないです。いわば一つの“商品”ですね。私自身は、決めたこととか「やりたいな」と思ったことは初志貫徹するほうだと思います。言いだしたら人の言うことを聞くタイプではないというか、「止めても聞かないな」ってたぶんみんな思ってると思います。
林:局アナをやめてフリーになろうというのも、自分一人で決めたんですか。
宇垣:そうですね。誰にも相談せず、決めました。
林:大学では何を専攻してらしたの?
宇垣:政策学部です。国際政治のゼミに入っていたので、主にルワンダとかユーゴスラビアの民族紛争の研究をしてました。
林:へぇー、そうなんだ。文学部だと思ってる人がたくさんいるかもしれない。
宇垣:国際政治はすごくおもしろかったです。ユーゴスラビアの研究で実際にセルビアとかクロアチアに行って、戦争のときにプロパガンダがどのように行われたかという研究をして、それがメディアに興味を持つ大きなきっかけになったのかなと思います。紛争が起こってしまった地域に住む人たちが特殊というわけではなく、歴史や環境がそうさせてしまったんだということがよくわかるんです。
林:そういうご自身の経験とか考えって、アナウンサーとしてテレビで司会してるときはどのぐらい出せるんですか。
宇垣:政治の話をすることはまずないですし、政治思想の話をすることはあり得ません。経験として「そこに行ったことあります。こういう国でした」とか、その程度ですね。