

夫、主人、ダンナ、妻、嫁、奥さん……。配偶者の呼び方によって印象が異なる。あなたはどの呼び方をしているだろうか。AERA 2020年11月2日号から。
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夫の不貞をわびる際、競泳の瀬戸大也の妻・馬淵優佳は「この度は大也の行動により~」とコメントを書いた。同じケースで「この度は、主人の無自覚な行動により~」と書いたのはお笑い芸人の渡部建の妻で俳優の佐々木希。
この件でも話題になったのが配偶者の呼び名問題だ。「主人」や「嫁」を避ける風潮がある昨今、仮に本人が無自覚でも、受け手は様々なものを読み取る。
夫、妻、旦那、奥さん、家内、亭主、パートナー、配偶者、相方、連れ合い、ワイフ、ダーリン……。それぞれの言葉の響きに染み付いているイメージがあり、何を思うかは個人差がある。アエラのアンケートにも様々な声が寄せられた。
「夫のことを『主人』と呼ぶのはとても気持ち悪い。奴隷にされている感がする」
「記号として『うちのダンナ』と言うことにあまり抵抗はない。公の場では『夫』を使うことが多く、勧誘を断るときは『主人』が便利です」
そういえば知り合いに自らの妻を「奥さんの人」と呼ぶ男性がいた。今思えば、少し客観性をまぶすことで、にじみ出る「自分のもの」感を減らし、「世間で言う『奥さん』の立ち位置にいる人」というフラットさを出す、苦肉の策だったのかもしれない。蔑(さげす)む意味での「奥」ではなくとも、「奥」のニュアンスを嫌う人も多いようだ。
特に悩ましいのは、話し相手の配偶者に言及するとき。もし「主人呼び」否定派の人だったら、と思うとご主人とは言いづらい。かと言って「夫」「妻」では敬意が足りない。では、夫さん?
「パートナーという語を用いたいが、どうもとんがった印象になりそう。『ご主人』は、『夫』の丁寧語的なつもりで使っているが、適当な単語は存在していない、とも感じる」(50代女性)
下の名前にさん付けする、が現状私なりの対応策だが、確認しようとしてつい「ご主人の下の名前は?」。
ああ、しまった。うっかり。(編集部・高橋有紀)
※AERA 2020年11月2日号