くすくすと笑いが止まらない客席に向かい、井ノ原が口上を述べる。
「えーみなさん、この度は20th Century LIVE TOUR番外編、ハイテクノロジーミュージカル『博を飛ばせてあげたい』にご来場いただきまして、ありがとうございました。これより出演者の紹介をさせていただきたいと思います。坂本昌行。そして井ノ原快彦。そして、俺たちの長野博。これより、初日が開けた……ということで、どうでしょう?」
話を振られると、それまで役を演じきっていたのが嘘のように「恥ずかしい気持ちが」「いまのところがなぜかいちばん汗かいてますね」と長野。井ノ原がにこやかに「これを年末から考えてたと思うとゾッとしますね」と言えば、坂本も「そうですね。年越してるってね。私は舞台『凍える』をやりながらこれを考えておりました」とさらなる笑いを誘った。
そして始まったMCタイム。「トニセンのほうから皆さんにね、知っていただきたいことがたくさんあるんですよね」と口火を切った井ノ原から、怒涛のように大きな発表がもたらされた。
「今日は2月2日ですよね。今日、夜中の、2月3日の0時。音楽配信サイトにて配信をさせていただきます。ありがとうございます。この曲はですね。なんと作詞作曲が、竹内まりやさん。「恋はこれから」という、僕らにぴったりの曲をいただきました。そしてもう1曲ありますよ。真心ブラザーズのYO-KINGさんが作曲なさいました、「君の笑顔につられて」というね、この2曲を今夜12時から配信させていただきます」
さらに、本日3日正午には、この2曲に「プラスもう1曲で、ちょっとYouTubeで、スタジオセッションしたのが、配信されます」というから見逃せない。
昨年の8月に「風を預けて」、10月に「水曜日」、12月に「ツラいチャプター/メイプルと君と」、そして今回の「恋はこれから/君の笑顔につられて」と、次々と配信でのリリースをしてきたトニセンだが、「僕らもね、あの言っちゃえば昭和の人間なんでね。配信っていうことにちょっと馴染みがなかったんですけども」と井ノ原。
「僕らと同世代の方もいると思いますよ。配信ぱっかりでさ、って。ね、思うでしょう? 私はモノが欲しいのよ。盤が欲しいのよ。弊社からリリースしてもらいなさいよ、そう思ってるでしょ?」と畳み掛けたかと思いきや、続けて「してるんだよ。なんと、25年ぶりに」。
突然の発表にとっさに理解が及ばないのか、戸惑いと驚きがないまぜになったファンに、
長野「四半世紀ですか?」
坂本「四半世紀」
井ノ原「オリジナルトニセンのアルバムが、夏に」
坂本「待たせたね」
長野「25年って」
と3人のかけあいが響き、次第に喜びが会場全体に満ちていく。
ちなみに発売の時期は「はっきりとした日付は内緒です。もうざっくり夏頃まで」。「ちゃんと社長が計算してますから」「あれだろ? 暑くなったらだろ?」と言う坂本に、井ノ原が「夏頃までには。みなさんね、もうカーステからかけられるぐらいの」「だからダビングしちゃダメだぜ?」と“昭和ワード”満載で答え、さらに会場を笑いと喜びの渦へと巻き込んだ。