もっともアシックスは、長距離のウォーキングや散歩に適した運動靴タイプだけでなく、革素材を使ってスニーカーのような履き心地を実現したビジネス向けシューズも取り扱う。見た目はビジネスだが、ランニングシューズのノウハウが詰まっており、仕事で外回りの多い営業職に評判という。

「とくにコロナ禍では、リモートワークで運動の頻度が減り、出勤や帰宅時の時間を活用して歩かれているお客様が増えています」(同社銀座店の専門スタッフ)

 ビジネス向けシューズでも、前述した歩き方を意識することで、ウォーキングシューズと同程度の運動効果を見込むことができるという。

「靴選びを誤ることによってタコや、足の親指が小指側に変形し『くの字』になる『外反母趾(がいはんぼし)』、爪が肉を巻き込む『陥入爪(かんにゅうそう)』など、多くのトラブルが引き起こされているのが現状です」

 日本整形靴技術協会の会長を務める栗林薫さんは、こう指摘する。協会は靴店や装具士、理学療法士など、足の健康にかかわる人たちで構成する。栗林さんの本業は靴店で、足のトラブルに応じてオーダーメイドで中敷きをつくったり、靴を直したりしている。

 長年の経験から、足のトラブルは間違った「靴選び」「履き方」によってもたらされると実感するようになった。そこで、正しい靴選びのポイントを整理してもらった。

(1)機能的に正しいこと(2)自分の足に合ったサイズの靴を履くこと(3)正しい履き方をすること──の3点が大事だという。

 例えば、(1)と(2)がきちんとできていても、(3)ができていなければ効果は得られない。「選び方」と「履き方」はセットで考える必要がある。

 まず、“いい靴”の条件とは、機能的に正しいものでなければならない。「かかとがしっかりしていること」「足先から3分の1程度が曲がること」「簡単にはねじれないこと」が重要だ。雑巾を絞るように、靴全体をねじってみて、曲がるようなら“NG”だというのだ。

 次に、足に合ったサイズの靴選び。「日頃履いている足のサイズを正しく知らない人が多い。まずは自分の足の長さを正しく知るところから始めましょう」と栗林さんも改めて強調する。記者自身もアシックスの計測結果で痛感したばかりだが、同社のような計測サービスがない場合でも、自分で採寸することができる。

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