「男性版虹プロ」の始動は、日本の男性アイドル市場にどのような影響を及ぼすのだろうか。過去に数々のアーティストのブランディングを手がけ、業界内勉強会「エンタメブートキャンプ」を主宰する岡田一男氏はこう分析する。

「今までの男性アイドルは、ダンスなどのスキルよりも『総合力』が求められてきました。子どもの頃から長期にわたって育成する独特の文化があり、1つのことを極めることは目的ではなかった。対してK-POPは、ダンスと歌を徹底的に訓練させる。今後は男性アイドルにおいても、K-POPの手法でダンスに注力する流れが加速し、本格的なダンスでみせるユニットが増えるはずです。音楽的には、ブラックピンクやBTSの楽曲をはじめ、K-POPは、欧米のPOPSと同質化してきている。『Aメロ→Bメロ→サビ』ではない構成が増えるなど、よりアメリカナイズされた音楽が浸透するのではないかと思います」

 気になるのは、デビュー候補者たちの顔ぶれだ。ゆりこ氏はこう予測する。

「確かなことは、誰にも似ていない方が売れるということです。Park氏は『君の良さ、君の色って何?』と問いかけ、個性を大事にしてきた人でもあるので、よくあるK-POPではなく、個性的な男子がそろうような気がします。ジャニーズ系にハマらなかった子や、日本の芸能事務所に所属経験のある子も出てくるかもしれません。そして女性版と違うのは、既存の虹プロをみて応募する子がいるという点。Park氏の考え方に共感して志願する人もいるはず。結果的にファンのほうも、日本のアイドルにも既存のK-POPにもハマれなかった人が来るかもしれません」

 前出の岡田氏もこう続ける。

「Park氏はダンスを重視するので、身体能力の高い人がフォーカスされると思います。タレント性だけではなく、歌とダンスに求める基準が高くなるはずなので、その資質を持った人たちが多く出てくるだろうと思います」

 Park氏が聖人君子のイメージを貫くのか、それとも軍隊スタイルに傾くのか、その「形相」にも注目したい。(取材・文=AERA dot.編集部・飯塚大和)

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