「以前、息子の受験のために灘中学の学校説明会に行ったことがありました。学校の説明を受けた後、校長先生がこう話したのです。『高校2年の後半ごろになると、多くの灘校生は私たち教師を抜くんです。まあ、教師を抜けないようでは、私たちレベルの人間で終わってしまいますから』、と。私はこの言葉に、とても感銘を受けました。灘校には“余裕”があると思いました。それは、生徒の多くが卓越した素質を持ち、教師陣も生徒に対して信頼を持って接し、個性を存分に伸ばそうとする気概を強く感じたからです」(松原代表)
■男女がともに高め合う、共学校が強い理由は
国公立大3位の洛南は、京都駅から徒歩圏内にある。約1200年前に空海(弘法大師)が創ったといわれる「綜藝種智院」(日本初の私立学校)が源流だ。
1962年の発足時は男子校だったが、2006年に男女共学校となった。
「共学校にしてから、さらに医学部志望の生徒が増えたそうです。やはり、男子よりも女子のほうが真面目で勤勉で、コツコツと努力を重ねます。その姿に、男子がいい意味で意識をし、ライバル心を持つようになるんですね。日々の生活や学びでお互いに刺激し合うことが、医学部進学率を押し上げているのではないでしょうか」(同)
国公立大、私立大ともにトップ10に入ったのは、東海、四天王寺、ラ・サールの3校だ。では、北から南に向けて地域ごとに詳しく見ていこう。
【北海道】
国公立大合格者数ランキング40 位内に入ったのは、北海道大に13人、旭川医科大に7人の合格者を出した札幌南で全国で11位だ。私立高校は、北海道大に5人、東京大に2人が合格した北嶺が27位となった。
北嶺は、医学部志望者に向けて「北嶺メディカルスクール」を立ち上げており、受験の指導にとどまらず「医療人」として日本や世界で中心的な役割を担う基盤を提供。早期から医療や福祉の現場に触れる機会を設けているという。
【東北】
東北地方でランキングに入ったのは、国公立大16位の仙台第二で東北大に12人、山形大に13人が合格した。私立大医学部においても東北医科薬科大に17人、獨協医科大にも5人が合格した。
【関東】
関東には国公立大が6大学、私立+大学校が19大学もある。国公立大の10位内に関東の高校名はないが、私立大ランキングには、豊島岡女子学園、暁星、開成、海城、女子学院といった都内の私立高が並ぶ。また、6位には聖光学院もランクインしている。
「進学にしても就職にしても、東京には多様かつ一流の受け皿があります。では、医学部に強い進学校は、どう選んだらいいのでしょうか。その目安として私が話すのは、国公立大医学部だけではなく、むしろ私立大医学部に何人の生徒を合格させているのかが重要ということです。国公立大に合格させる以上に、私立大医学部に入学させるには生徒の家庭の経済面および、家庭環境も整っていることに加えて、学校自体の戦略、ノウハウが必要ですから」(同)