現在発売中の『医学部に入る2021』では、2020年の入試において医学部受験に強い全国の高校を調査し掲載している。どの医学部に何人合格したのか、「国公立大学」と「私立大学+大学校」別の合格者数を、都道府県ごとに一覧にしている。どんな傾向があるのか……合格実績を見て、学校選びの参考にしよう。
【ランキング】2020年 国公立大医学部医学科合格高校ランキング、1位は?
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■制度改正によって中高一貫校が台頭
医学部進学に強い高校の特徴として挙げるとすれば、私立の中高一貫校が強いということだろう。
1960年代後半から、学力格差を是正するために全国各地の公立高校で学校群制度が導入された。67 年、この制度が取り入れられた東京都では、都立のエリート校に優秀な生徒が入学する流れは崩れたという。結果、関東圏の場合は、中高一貫を掲げる開成や筑波大附などが台頭してきた。
■実利を重んじる風潮、東海と灘の強さとは
2020年の国公立大医学部医学科(以下、国公立大)、私立大+大学校医学部医学科(以下、私立大)それぞれの合格者数トップ40と、合格者数トップ38の高校をランキングにした。
国公立大への進学でトップなのは、愛知県にある東海で、私立大ランキングでも全国9位だ。もともとは、法然上人が開いた浄土宗の僧侶を育成するための学校として、1888年に創立された。
高校の1学年は約400人で、卒業生には予備校講師でタレントの林修や作家の大沢在昌がいる。医系予備校の進学塾ビッグバンの松原好之代表は、こう話す。
「トヨタ自動車やデンソー、ホシザキなど、愛知県はものづくり産業が盛んで実利を重んじる風潮があります。地に足を着けた商売戦略気質もあり、医学部受験においても、国公立大も私立大も等価とみなす富裕層ならではの考え方を持っています。以前、医学部の学費の値下げが起きた際も、それに伴って偏差値が上昇することをきちんと視野に入れて、偏差値を高めるチャンスも可視化した。東海は、医学部受験に強い高校という看板を不動のものにした結果、進学したい人気校として飛躍したのです」
国公立大の2位は、兵庫県にある灘だ。もともと難関大に強いのが特徴で、授業のほかに医学関連の話題も取り上げる土曜講座を開催することで知られる。