日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「コロナ禍での運動不足解消法」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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「コロナをきっかけに運動しなくなり、体重が増えました。」そうおっしゃる人は少なくありません。ジムを退会した、在宅勤務になり歩く機会が減った、そろそろテニスや水泳を再開しようと思うがなかなか行けていない……そう思っているうちに体重が増加してしまい、運動習慣もなくなってしまった、という方は多いのではないでしょうか。
私も、そんな一人です。コロナが流行し、休日に外出することも一切なくなってしまい、通勤で歩く程度になってしまいました。「このままでは、ますます体重が増えてしまう」と危機感はあったので、ヨガを自宅で行うものの、リフレッシュにはなるけれど体重は次第に増えていきました。
今年の7月末のことでした。クリニックを受診した際に採血をしたら、なんとコレステロール値が正常値を超えているではありませんか。大学生の頃から高めだったので気にしなかったのですが、9月末に再度採血したところ、さらに値が上昇。これはまずいと思い、興味のあったピラティスにトライすることにしたのです。
「ピラティス」とは、ジョセフ・ヒューベルトゥス・ピラティスが開発したエクササイズです。もともとからだが丈夫でなく、喘息やリウマチ熱など病気に悩まされたピラティス氏は、病弱な自分を鍛えることに興味を抱き、体操・ヨガなどありとあらゆるジャンルのスポーツやエクササイズを積極的に試し、自身のからだをどのように強くしたらいいかという研究を続けたといいます。第一次世界大戦の際、ドイツ人の従軍看護師として負傷した兵士のリハビリを行っていた時には、からだを自由に動かせない負傷して兵士でもベッドに寝たまま、短時間で効果的に運動不足を解消できるエクササイズを考案しました。これは、マシンピラティスの種類の一つであるベッド型の器具の基礎になったと言われています。
第一次世界大戦後、米国に渡ったピラティス氏はニューヨークでスタジオをオープン。彼のエクササイズは、次第にアスリートやダンサーに認められるようになり、ビジネスマンや医師、音楽家や学生など多くの人に愛されるようになりました。同時に、弟子への指導も熱心に行なった結果、弟子たちが世界中でピラティスを広めることに繋がり、さらにはリハビリから、アスリートまで幅広いニーズにこたえることができるようピラティスは発展を遂げて、今に至るというわけです。