AERA本誌で集中連載を終え、書籍化された『池田大作研究』。AERA 2020年11月23日号で、筆者の佐藤優氏と作家の澤田瞳子氏が語り合った。
* * *
澤田:これからもまだ、池田大作氏や創価学会について注視していかれるのですか。
佐藤:はい。この本の中で書けていないことも、やっぱりあるんですよ。創価学会インタナショナル、SGIです。これがどのような発展をしていくかということについては、やはり関心を持っていますね。あと、教義的なことにも関心はあり、日寛教学がどのように再編されていくのかにも注目しています。
澤田:私、今回の対談のために初めて、創価大学のサイトを見たんですけど、宗教学部に近いものはないんですか。
佐藤:ないです。あえて作っていないんです。
澤田:じゃあ、例えば入学式とか卒業式とか、そういうときに宗教色は。
佐藤:ないんです。創価大学の中で、例えば寮とかで勤行(ごんぎょう)をやっている学生は当然多いわけなんですけれども、創価学会専用の宗教施設は大学内にはないんです。イスラム教の礼拝ができる施設はあって、これは留学生用です。イスラム教の礼拝場はありますが、創価学会の専用施設はありません。創価大学は宗教学大学ではないという立場を明確にしています。
澤田:そういうお話をうかがうと、創価学会はよその宗教や、よその文化に対しても、ものすごく敬意を払う団体なんだと感じますね。
佐藤:そこは、やはり世界宗教になっていくことを本気で考えているからですよね。池田大作氏がイギリスの歴史学者のアーノルド・トインビーや、ハーバード大学の神学の教授、ハーヴェイ・コックスら、いろいろな文化、宗教の人たちと対話しているという特徴がありますからね。
澤田:宗教というのは長く続けば続くほど、文化と密接に関わってくると思います。創価学会はほかの文化に非常に敬意を払っている。それは、我々がほかの宗教を見る時に必要な目ではないのかな、とも感じるわけです。