

マンションにつきものなのが「大規模修繕」だ。入れ替わりさまざまな工事の作業員が出入りするが、新型コロナウイルスの心配はないのだろうか。組合の理事に選任されて困っている人や、運営に頭を悩ませている人の悩みに応える「資産価値を守る!マンション管理・修繕・建替え大全2021」(週刊朝日MOOK)から、抜粋して紹介する。
【図】マンション修繕工事現場における感染リスクフローはこちら
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コロナ禍は日本がほかの先進国に比べ、デジタル化において大きく後れを取っていることを鮮明にしました。
菅政権では、このデジタル化をより一層進めるために「デジタル庁」の新設も政策に取り入れました。
マンションでも「3密(密閉、密集、密接)回避」の視点から、管理組合総会や理事会をウェブ会議方式で開催する動きが始まっています。
実際に取り組んでみると、感染を防ぐという消極的な理由だけでなく、ペーパーレスの推進や、マンション外に居住する区分所有者の総会参加が容易になるといった利点もみえてきました。管理会社の団体であるマンション管理業協会は、ITなどを活用して遠隔地からも参加、出席できる総会の実施に向け、法改正も視野に入れて検討を始めています。
近い将来、現在の4G(第4世代)に比べ通信速度が大幅に向上する5G(第5世代)が一般にも普及します。これも視野に入れてインターネット環境の整備を検討する必要があるでしょう。
■コロナ禍で悩むマンション修繕工事
コロナ禍でのマンション修繕工事をどうするか悩んでいる管理組合もあるでしょう。実際の工事の現場には、さまざまな職種の作業員が入れ替わり立ち入ることになります。
現場監督などは、工事説明会で顔を合わせたり現場に常駐したりしているので特定人といえます。しかし、各作業員は居住者からすれば不特定多数の見知らぬ存在であり、廊下やベランダで作業していることに不安を覚える人もいるはずです。
建設工事については、国土交通省が「建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を2020年5月に公表していますが、あくまで新築工事が主体で元請けと作業員の対策が中心で、居住者が生活するなかでの工事は想定されていません。