※写真はイメージです(GettyImages)
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いま求められる高齢者ホームのあり方について語り合った。左からストランデルさん、太田さん、安藤さん(撮影/小黒冴夏・写真部)
いま求められる高齢者ホームのあり方について語り合った。左からストランデルさん、太田さん、安藤さん(撮影/小黒冴夏・写真部)

 老後をどこで、どのように過ごすのかは、親にとっても子どもにとっても、いつかは向き合わなければならないテーマだ。現在発売中の週刊朝日ムック「高齢者ホーム2021」では、日本で介護付き有料老人ホームを運営するスウェーデン人のグスタフ・ストランデルさん、全国の有料老人ホーム・高齢者施設の紹介を中心としたビジネスを展開する安藤滉邦さん、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんの鼎談を実施(2020年7月)。2025年問題や高齢者ホームの選び方、理想の老後の在り方など、話題は広く、多岐に及んだ。その中から抜粋する形で「コロナの影響」などをテーマにお届けする。

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安藤滉邦さん(以下、安藤) 「舞浜倶楽部」(※グスタフ・ストランデル氏が運営する介護付き有料老人ホーム)では看取りも認知症ケアもされていますが、皆さん、入居からだいたい何年くらい過ごされるのですか?

グスタフ・ストランデルさん(以下、ストランデル) 入居者の平均年齢は86歳で、4年程度を過ごされるケースが多いです。スウェーデンでは1、2年。つまりギリギリまで在宅が可能ですが、私は地域交流のことを考えると、もう少し早い段階で移ってもいいと思っています。というのも、「文化活動」「ボランティア・地域活動」の二つがそろっていれば、フレイル(身体的機能や認知機能の低下)のリスクを軽減できるという研究発表があるのです。文化活動と地域活動の共通点は、人とのつながりですね。しかし今は新型コロナウイルスの影響により、世界中で高齢者の文化活動と地域活動が阻害されていることが心配です。

太田差惠子さん(以下、太田) 確かに今、新型コロナウイルスの影響で、高齢者と他者の接触機会は非常に抑えられています。二世帯住居でさえ、上階に住んでいる両親とは会わないというご家族がいらっしゃるほど。在宅介護の現場にも影響があります。例えばケアマネジャーさんが感染拡大地域の人と会ったら、2週間は患者さんのお宅を訪問できないとか、デイサービスが休会になってしまったとか。それによって、ご本人と家族に大きな負担がかかっている状況ですね。

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