こうした違いを踏まえて、山田さんに、だし、具材、みその組み合わせ例を三つ紹介してもらいました。みそにもさまざまな種類がありますが、今回は代表的なものとして、米みそ、豆みそ、白みその3タイプを取り上げました。米みそは、大豆に米麹を加えて作られる一般的なみそです。豆みそは、中京地方で作られる豆麹を使ったみそ。白みそは、麹の量が多い甘口タイプです。
◎かつお昆布だし+長芋+米みそ
かつお昆布だしと米みそは最も定番の組み合わせで、どんな具材でも合わせやすい。秋が旬の長芋もみそ汁にぴったり。具材を焼いたり炒めたりすればさらにコクやうまみが出る。
◎いりこだし+にら(うま味野菜)+米みそ
いりこのイノシン酸にうまみ野菜のグルタミン酸を合わせて。春が旬のにらだが通年手に入りやすい。ピリ辛にして豆みそにしてもコクが出る。
◎昆布だし+牡蠣+白みそ
うまみ成分のコハク酸を含む貝類や核酸系のきのこや海藻には昆布だしで十分。素材の色を生かしたいときは白みそがおすすめ。
11月中旬は二十四節気では「立冬」にあたり、木枯らしが吹いて、冬の訪れを感じます。空気も乾燥して干し野菜作りにも向く季節。切り干し大根ならうまみが凝縮していて、だしがいらないほど。えのきだけやしいたけは使う前に天日干しすれば、うまみが増してさらにおいしくなります。
旬の食材を取り入れて、「薬になるごちそう」のみそ汁生活を始めてみてはいかがでしょうか?
(撮影/宮濱祐美子、取材・文/スローマリッジ取材班 時政美由紀)
■山田 奈美(やまだ なみ)/薬膳・発酵料理研究家。国際中医薬膳師。「食べごと研究所」主宰。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて、「和食薬膳教室」「季節の仕込みもの教室」「発酵教室」「離乳食教室」などを開催。近著は『二十四節気のお味噌汁』(WAVE出版)。