北関東から東北地方、とりわけ茨城県を中心に地震が頻発している。
「不気味と言えば不気味です」
国土地理院の西村卓也・主任研究官はそう語る。
1月22日に茨城県沖を震源とする地震があり、茨城県神栖市で震度4を観測。28日には茨城県北部を震源とする地震があり水戸市で震度5弱を、31日にも日立市で震度5弱を観測した。
そんな地震が多発する茨城県には、潜在的リスクも指摘されている。建築研究所の古川信雄・研究専門役は、東日本大震災後、余震の震源域や過去に起こった地震を徹底的に調べ、危険地域を見つけた。
「茨城沖に地震が起こっていない空白域がある」
東日本大震災後、震源域近くのほとんどの地域で余震が起きていた。起きていない場合は、過去に大規模な地震が襲っていた。1896年にはM8.5の明治三陸地震、1933年にはM8.1の昭和三陸地震、1952年にはM8.2の十勝沖地震…といった具合だ。
その結果、まだ地震が起きていない領域が見つかった。茨城沖だ。
茨城沖での最後の大地震は、1677年に起きたM8級の延宝房総沖地震だ。以来、335年以上が経過している。古川さんによると、この地震による津波の被害は甚大かつ広範囲で、八丈島で9メートル、千葉では6~7メートル、茨城でも4~5メートルに達したとされる。正確な資料は残っていないものの、大きな被害が出たことは容易に想像ができる。
「茨城沖では、M8級の地震がいつ起きてもおかしくない。たとえ震度は小さくても、大津波が襲う可能性は十分にある」
と、古川さんは警告している。
※AERA 2013年2月25日号