ただ、当てはまらないケースもある。例えば、米国に次ぎ世界で2番目の感染者を出しているインドや、3番目のブラジルだ。年間を通じた気温は日本と比べてもかなり高いが、爆発的な感染者を出している。

 前出の都築医師によれば、気温が上がるほど患者が増えたという結果を紹介している論文も存在しているという。

「季節性が患者の広がりにどのような影響を直接与えるかは、まだまだ結論が出ないのではないか、というのが正直なところです」と話す。

 舘田教授は、政府ではなく私たち一人一人の行動が重要だと指摘する。

「今こそ全員で徹底して工夫した感染対策をしていかなければ、本当に厳しい状況になる。最悪のシナリオは、感染者が1日1万人などといった状況になり、ヨーロッパのように医療崩壊してしまうことです。緊急事態宣言などは簡単に打てる手段でないことを考えて、個人で感染予防に努めてほしい」

(編集部・小田健司、小長光哲郎、大平誠、福井しほ)

AERA 2020年11月30日号より抜粋

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