感染しない、させないために、私たちができることは何だろうか。気を付けているつもりでも、忘れていることや勘違いはないか。テレビで聞いたあの話は本当か。AERA 2020年11月30日号は、感染制御学が専門の菅原えりさ東京医療保健大学教授に聞いた。
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まずは手洗い。菅原さんは「水だけで洗ってもウイルスが流されることはあり全く意味がないとは言わないが、ウイルスを落とすには不確実」と話す。
「基本的には石鹸で洗ってください。固形石鹸でもハンドソープでも大丈夫。種類はとくに気にする必要はありません。成分として含まれる界面活性剤がウイルスに付着し、死滅させる効果があります。また、アルコール消毒液を併用する必要はなく、どちらかひとつで構いません」
スーパーなどでは、入り口に置いてあるその消毒液を使うことになるが、入るときと出るとき、どっちで使うべきなのか。
「2回とも使ってください。入るときは、店にウイルスを持ち込まないため。ただ、店の中の商品は不特定多数の人が触っています。何か商品に触れたら『その手はもう汚れているんだ』という意識で買い物を続け、店を出る前に消毒です」
行き帰りも同様。何かに触れたら、その手は「汚れている」という意識を持ち、できるだけ顔の方に持っていかないことが大事だと言う。
次は自宅。菅原さんが警鐘を鳴らすのは、家で使う除菌・消毒用品の選び方だ。「抗菌」「除菌」などとうたう商品に飛びつくのは危険だという。
「これらは非常に曖昧な言葉で、明確な定義はありません。その言葉を信用して『消毒したつもり』になってしまうのはよくありません」
前出のように、新型コロナには洗剤の成分である界面活性剤が効く。だから、家庭内の消毒には最も一般的で手軽に買える「界面活性剤入りの家庭用洗剤」で十分だという。ラベルの成分欄に「界面活性剤」や、薬品名の「アルキルグリコシド」などと書かれている。たとえば花王の「マイペット」などだ。