■着こなしでよみがえる
参加者の一人、池内佑佳さん(25)が持参したのは風変わりな黒のパンツ。「セールにせっかく行ったから、何か買わなきゃ損だと思って」無理やり買ったが、結局着ないままになってしまったという。タンスの肥やしだったというそのパンツに、スタイリストの小山田早織さんは、白いシャツとニットのベストを合わせて大人っぽくスタイリング。新しいコーディネートでよみがえったパンツ姿でランウェーを堂々と歩いた池内さんは、満足げだ。
「サステナブルとかSDGsって、よく言われるけどあまり実践できていませんでした。このイベントで自分ごと化できたような気がします」(池内さん)
スタイリストとしてイベントに参加した人気のファッションアドバイザーのMBさんはこう話す。
「参加者が持参したいらないものと、メルカリで購入した誰かのいらないものを掛け合わせて“いるもの”ができた。おしゃれの価値はモノと着こなしの掛け算で決まります。トレンドが過ぎたモノでも、着こなしでよみがえる。着こなしのリテラシーが広がるともっとモノが生きてくると思う。サステナブルじゃないとかっこ悪いという価値観も根付き始めていますよね」
また、ブラックフライデーを実施せず、バイバック(買い取り)フライデーを呼びかけたのはイケア・ジャパン。12月6日まで買い取り価格を通常より30%上乗せしている。商品の衝動買いを促進するのではなく、不用になった家具に第2の人生を与え、循環型経済を発展させようというキャンペーンだ。
黒か緑か、それとも。何色の金曜日を過ごしましたか?(編集部・高橋有紀)
※AERA 2020年12月7日号

