翻って、森保ジャパンはどうか。戦術上のキーマンを挙げるとすれば、前線で体を張って2列目の攻撃力を引き出す役割を担う1トップの大迫勇也になるのだろうが、「FWのポストプレー」などは、小学生レベルならまだしも、A代表の戦術として声を張り上げるようなものではない。選手選考に関しても、監督の“色”が見えず、ファンの人気投票で選んでもほぼ同じになるのではないか……。

 メディアも含めた周囲の意見に左右されることなく、「俺はこのサッカーがやりたい。だからコイツを選ぶ」という強いこだわりがあっていい。例えば、所属チームで長く出番がなくなっていた中島翔哉を招集する。あるいはパナマ戦での低調な出来に批判が集まった柴崎岳をメキシコ戦でもフル出場させるなど、監督としてのこだわりを見せられる箇所はあったはずだ。自身がJリーグで結果を出した「3-4-2-1」のシステムについても、もっと追求すればいい。

 この先、どのようにしてチームの精度を上げ、世界との差を埋めるか。集まれる機会が少ない代表チームだからこそ、「森保ジャパン=○○」という明確な軸が必要になる。その上で、森保監督のやりたいサッカーを体現する選手を発掘しなければならない。それは遠藤航なのか、それとも東京五輪世代にいるのか。勝負は、勝つ時もあれば、負ける時もある。例え敗れたとしても、見る者に「満足感」を与えられるかどうか。2021年こそ、この停滞感を打ち破ってもらいたい。

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