作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、群馬県草津町で賛否が問われている女性議員に対する解職請求(リコール)について。議会を傍聴してきた感想をまとめた。
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町長からの性被害を訴えた草津町議員に対するリコールの賛否を問う住民投票が12月6日に迫っている。
衆院議員の杉田水脈氏の辞職を求める声に14万筆近く集まっても、国会議員を辞職させることはできない。一方、地方議員となると、辞職勧告や懲罰のハードルが下がるのだろうか。
乳児を議場に入れた熊本市の緒方夕佳議員が、のどあめをなめたと出席停止処分を受けたのは2018年。宮古島への自衛隊誘致に反対し「(自衛隊がくると)婦女暴行事件が起こる」とSNSに記した石嶺香織市議(当時)が辞職勧告を受けたのは2017年(SNSについては後に謝罪のうえ撤回)。徳島県藍住町では、水道光熱費が少なすぎて居住実態がないと断定され西岡恵子さんが2度(2010年、2014年)同じ理由で議員を失職させられている(議決取り消しを求めて提訴し勝訴確定)。最近ではSNSに議会での同僚議員の様子を(質問をしなかったなど)を記した埼玉県日高市の田中まどか議員も辞職勧告を受けた。
女性ばかり記したが、もちろん男性議員も辞職勧告などを受けている。とはいえそもそも絶対数が少ない女性議員への懲罰が目立つのと、港区議員の公然わいせつや、女性職員の机を物色して刑事事件になった富山市議などの例が直近ではあるが、のどあめをなめたとか、光熱費が少なすぎるというのとは次元が違いすぎるじゃないか。
■ 町議会の傍聴をしてきた
そういうなか、草津町で今起きていることは、もしかしたら地方議会の「今」の問題なのかもしれない。リコールの賛否を問う住民投票まで時間がないなか、12月1日、草津町議会を傍聴するため草津に向かった。
この日、議会で多くの時間を費やしたのは、町長からの性被害を告発した新井祥子議員の処分についてだった。町長は新井議員を名誉毀損で刑事・民事ともに訴え、5000万円を要求している。議会で新井議員はうそつきと断定され、議員等が率先してリコール運動を導いた。