社会保険労務士の小泉正典さんが「今後いかにして、自分や家族を守っていけばいいのか」、主に社会保障の面から知っておくべき重要なお金の話をわかりやすくお伝えする連載の第15回。
【表】覚えておきたい「医療費控除が認められる費用・認められない費用」
今回は、サラリーマンの年末の恒例行事「年末調整」の基本と、それに関係した今年の税制の変更についてです。
■この際、基本を知っておきたい「年末調整」する理由
もうこの時期でしたら、会社員の皆さんはすでに年末調整の書類を提出しているころかと思います。この年末調整ですが、毎年行っていても「今一つ、どういうものかわかっていない」という人も、若い世代を中心に少なくないかもしれません。
今回のこの連載では、年末調整の意味合いと、大きく変更となった年末調整にかかわってくる今年の基礎控除や給与所得控除、さらに「ひとり親」に対しての控除など税制の変更点について、基本的なことを説明しておきたいと思います。
まず、「なぜ年末調整が必要か」「年末調整をする12月は給与の手取りが増えたり、場合によっては減ったりするのか」ということですが、簡潔に言えば1年間の所得額を計算し、それに応じた所得税額などを確定する「確定申告」を、会社員なら年末調整をすればしなくてもいいからです。
たとえばアメリカなどでは、会社員、自営業者、フリーランスなど関係なく、納税者はもれなく確定申告をしています。しかし日本の場合、会社員は特例として確定申告が必ずしも必要ではなく、税額は源泉徴収税額表に基づき会社が計算して給与から預かり、税務署に払っているのです(会社員でも副業の収入が年間20万円以上ある人、2カ所以上の会社から給与を得ている人、また給与が2000万円超の人などは確定申告しなければなりません)。
働いている側から見れば、収入と税金の細かい計算をする必要がないので、手間がかからずありがたい話ではあります。
税金は所得をもとに計算しますが、結婚して家族が増えたなど支出が増えるような場合には、一定額を控除として収入から差し引く(=税金が安くなる)制度があります。