私は漫画やアニメなどサブカルに出てくるマンボウ情報も収集する博士である。
【写真】ギネス認定された「世界最重量硬骨魚」はウシマンボウだった!
前回、<漁師伝来の珍薬「マンボウの肝油」をようやく作って試してみた>という記事で実際にマンボウ肝油を作った体験レポートと、飲み薬や塗り薬としての可能性をお話ししたが、マンボウの肝臓は普通に料理しても美味しく食べられる。
そこで今回はマンボウの肝臓料理の一例の紹介も兼ねて、ネットサーフィンで偶然発見した、漫画家ぽんとごたんだ氏の作品『桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?』のマンボウ回で使われたネタについて科学的視点から徹底検証したい。
■『桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?』とは?
雑食系グルメコメディと銘打たれているように、本作品は女子高生が学校で普段はあまり食べないような食材をどこからか入手して、料理し、どんな味がするのかを体験する漫画である。本作品の最大の魅力は食べられるものは何でも食うというスタンスで、テレビなどで単にゲテモノとして紹介される食材にも真摯に向き合い、コメディでありながらもその食材の豆知識、調理手順や料理方法を結構リアルに描いているところである。そのリアルな描写は、各回の最後に作者自身が実際にその食材を料理して食べた感想を書いていることからも支持される。
この手の主人公は漫画のキャラクターと思われる方も多いだろうが、生物系である私の周りにはこの手の人が結構存在するので親近感がある。私がよく参加するイベント「いきもにあ」や「博物ふぇすてぃばる!」でも雑食好きなクリエイターに出会ったことがあるし、私自身も機会があればいろんなものを食べてみたい。
■漫画で使われたマンボウの知見
漫画でマンボウは背景やイメージ画像としてちょい役で登場することは時折あるが、1話まるっとマンボウの話が取り上げられることはめったにないので個人的にはうれしかった。しかし、研究者として漫画でネタに使われた知見が正確なのかどうかは検証したくなるもの。まずは漫画で登場したマンボウの知見を以下に箇条書きにする。
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世界最大級の硬骨魚で最大3m。近海のフグが熱帯の海に適応して進化した。ジャンプしたあと水面にぶつかって死ぬなどデマも多い。皮は厚い。寄生虫が多いため、シャチに狙われない、変な行動(ジャンプや日光浴)は寄生虫を取るためという噂。腸は「ひゃくひろ」とも言い、特に寄生虫が多い。泳ぎがそこまでうまくない。主食はクラゲ。生態や行動は謎が多い。
江戸時代には公家がお吸い物で食べていた。酢味噌和え、塩焼き、天ぷら、湯引き、唐揚げなどで食べ、高知や三重の漁師町ではスーパーに売っている。三重では会席料理に出る。身(肉)はすぐに痛むが、手でほぐすことができ、水っぽいが、ホタテのようにプリッとしている。肝臓は100%寄生虫に寄生されているが、火を通せば大丈夫で美味。腸はミノやホルモンみたいで、ぷりぷりの弾力。食材としてあっさりしているが、マンボウ独特の味がある。
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