石村さんらから相談を受けたことを機に、対策を協議。ロケット花火や爆竹で追い払う策も検討されたが、火事の恐れもある。猟友会に駆除を頼んだが、「猪や鹿ならジビエにもなるので獲ってくれるんですが、猿は人間に近いだけあって、撃つには抵抗があると。食べることで命をいただくということもできないし、撃ちたくないと言うのです」(同前)

 そこで、モデルガンの使用を思いついた。

「バイオBB弾という、土に還る弾を使用します。まずどれだけの威力があるのか実験をしてみました。私がジャンパーを着て、20mくらい離れたところから撃たれてみたんです。ちょっと痛かったけど、ケガをするほどではない。これなら動物虐待にもならないと判断しました。といっても猿を撃つのではなく、あくまで威嚇射撃をするということで、講習会を開きました」(同前)

 石村さんは一念発起して電動ガンを購入。

「抵抗は少々ありましたよ。車に積んでいて、警察に見つかったらイヤだと思いました」

 木下たつ子さん(68)は、2~3年前におもちゃのような銃のセットを購入していた。

「家のすぐ後ろが山のため、猿が下りてきたんです。それで通販で、大きいのと小さいののペアの銃を買いました。まあ私のは子どもが遊ぶような鉄砲で、連射はできません。石村さんの持ってるのはいいよね、威力があるから。とにかく今年の猿は頻繁に出るし、数も多い。1人で畑にいるときに出てきたら、その場ですぐに撃つし、主人も呼びます」

 もう1人の伊井美由紀さん(68)は、

「家は山に左右を挟まれているんです。猿は山を渡り歩くときに家の前の畑を通り、そのときにいろいろ食べていく。木下さんが銃を2つ持っているから、小さいほうを貸してもらい、講習に参加しました」

 3人が住む集落には、35世帯ほどが暮らす。

「35世帯を守るという気持ちですよ。猿が出たら、私のところに電話が入ります。それで私→伊井さん→木下さんの順に連絡を取って、行くんです。木下さんが旦那さんに連絡し、旦那さんが他の男の人にも声をかけて、大勢で行くこともあります」(石村さん)

 猿は銃を見たただけで逃げる。しかし最近は慣れてきたのか、いったん遠くに離れてモンキーバスターズの様子を観察。バスターズが離れたら、再び畑に戻るという。

「結局、場当たり的。根本的な解決にはなっていません」(木下さん)

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