景勝地として名高い、宮城県の松島。震災では比較的被害が少なく「奇跡の松島」と呼ばれている。温泉宿「松島温泉 湯元 松島 一の坊」からは、そんな奇跡の絶景を望むことができる。
朝6時過ぎ。群青色の空が明るくなってくると、露天風呂に人が集まりだす。宿から見えるのは日本三景のひとつ、松島湾だけ。海の向こうから太陽が頭をのぞかせると、湯けむりが朝日に照らされ、辺り一面が黄金色に染まった。湯船の中では、「わあ……!」と思わず歓声が広がる。
館内からは、どこからでも松島湾が見える。この風景を独占できるほどの贅沢があるだろうか。気がつけば、視線は窓の外へと向かい、移りゆく空と海を眺めてしまう。日常のあれこれが、次第にどうでもよくなってくる。
自慢は7千坪にも及ぶ“水上庭園”だ。海と隣り合わせだが、幸いにも東日本大震災の津波被害はなかったという。
「奇跡の松島、と呼ばれています。島がたくさんあるので、津波はほとんど来なかったんです。でも、半年間はうちも休業して、復旧作業の方々を受け入れていました」とホテルのスタッフは話す。
東日本放送のアナウンサー・若月貴代さんは、昨年、スパの取材で初めて訪れたという。「ここは風景が美しくて癒されます。宮城県の沿岸部は、震災から2年が経つ今も復興はまだまだ。松島は比較的被害の少なかった所なので、観光客の誘致など積極的に盛り上げたいです」(若月さん)
※週刊朝日 2013年3月8日号