かつて相続税は「お金持ちが払うもの」という認識でよかった。しかし2015年1月に相続税の改正が決まり、そうとは言っていられない「時」が来たようだ。あなたにも関係することが大いに予想される「相続」について専門家に話を聞いた。

 相続対策は、まず財産の把握が大切だ。『相続のミカタ』(中経出版)の著者で、日本中央会計事務所の代表である税理士の青木寿幸(としゆき)さんは、こう指南する。

「現金とは別に、預貯金、不動産、生命保険、投資信託・株。この四つを調べれば、家庭の財産はほぼカバーできます。預金は通帳を、生命保険は保険証書を見れば金額を確認できます。投資信託と株は証券会社が時価を教えてくれるはずです。難しいのは不動産の価値です」

 相続税を計算する場合の遺産総額は、相続税法や国税庁の通達に従って算出した「相続税評価額」の合計となる。中でも不動産の評価額の計算は面倒だ。青木さんに、わかりやすいチェック方法を教えてもらった。

「自宅に毎年送られてくる固定資産税の『納税通知書』を見てください。そこに建物と土地の評価額が載っています。建物はその額のままでよいのですが、土地の評価額は本来、毎年7月に国税庁が発表する『路線価』で判断します。ただ、通知書にある評価額を0.7で割り、0.8をかけると、だいたい路線価と同じになるのです」

 生命保険は「勘違い」に気をつけよう。夫の保険金の受取人が妻や子どもだった場合、その保険金は相続財産になるのかどうか。青木さんはこう答える。

「民法上は個人(受取人)の財産なのですが、相続税法上は遺産とみなされて、相続税の対象になります。インターネット上の解説には、間違いもあるので注意しましょう。遺産分割の対象にはならないので、まとまったお金を特定の人に渡したい場合には有効です」

 ただ、受取人が「妻」や「長男」でなく「被相続人」となっていることもある。その場合は、保険金が遺産分割の対象となるという。いま一度、保険証書を確かめてみよう。

週刊朝日 2013年3月8日号