話題になった近畿大のポスター (c)朝日新聞社 @@写禁
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 今、「大学志願者地図」が激変している。複数の学科を割安価格で併願できる「全学統一入試」という仕組みを導入した南山大など中京地区の有名私大が志願者数を増やしている一方で、武蔵大や拓殖大、駒沢大など首都圏の中堅私大には、志願者数の減少に泣いた大学が目立つ。一体、何が明暗を分けたのか。

 近畿大も、今年から紙の願書ではなく、ネット経由で出願すると、3万5千円の受験料が3千円割り引かれる「エコ出願」を導入した。同大も1万円追加するごとに、複数の学科を併願できるが、ネットで出願すると、この分もそれぞれ3千円引きとなる。

「近大へは願書請求しないでください」というユニークな広告が話題になったこともあって、ネット経由の出願が全体の60%を超えたという。

 一方で、首都圏の中堅や難関私大には、苦戦しているところが目立つ。駒沢大や専修大、中央大などで志願者が減ったほか、早稲田大は昨年より1759人、慶応大は480人志願者が減った。関西地区でも、京都市と滋賀県内にキャンパスがある立命館大は2167人減った。一体、なぜなのか。大学通信のゼネラルマネージャーの安田賢治氏は、次のように分析する。

「苦戦しているのは、“全国区”の有名大学が多いですね。受験生の『地元志向』が強まっており、関西や中京、九州から、わざわざ東京の大学に来なくなっているのです。近年は『地元』と感じる範囲がさらに狭まっており、たとえば人数の多い大阪の受験生が、京都や神戸の大学に行くのを手控え、大阪府内に進学する傾向が見られます。立命館大の志願者が減って関西大が増えたのも、この影響でしょう」

「地元志向」とともに、「安全志向」も高まっている。

「早慶が減ったのは、とにかく浪人したくないという志向が強いことがあるでしょう。そうした上位層の受験生は、少し難易度が低い立教大や上智大などに流れているようです。一方で、明治大は近年難易度が上がってしまったので、やや敬遠されたのだとみられます」(安田氏)

週刊朝日 2013年3月15日号