お経のように難しい漢字がならぶ皮膚病の病名。皮膚科医もスラスラでてこない病名があるそうです。そんななか、名前のインパクトのある皮膚の病気が……。京都大学医学部特定准教授で皮膚科医の大塚篤司医師が、クリスマスにちなんだ皮膚の話を解説します。
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今年は新型コロナウイルス感染症の影響もあって、クリスマスを満喫する雰囲気ではないように感じます。特に私たち医療従事者は、街に出てコロナに感染してしまうと院内感染を起こしかねないので、基本的には病院と家の往復の日々です。
そこで、今回は少しでもクリスマス気分を味わうために、クリスマスにちなんだ皮膚の話をひとつご紹介したいと思います。
皮膚病にはおどろくほど多くの病名があって、そのほとんどが難しい漢字でお経のように表現されます。例えば、尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)、毛孔性紅色粃糠疹(もうこうせいこうしょくひこうしん)、急性苔癬状痘瘡状粃糠疹(きゅうせいたいせんじょうとうそうじょうひこうしん)など舌をかみそうな病名が数多くあります。
そのため、皮膚科医になるとこの漢字だらけの専門用語を覚えることが第一の関門となります。私もお恥ずかしいことにスラスラとは出てこない病名がいまだにあります。ただ、その中でも1年目の皮膚科医が苦もなくさらっと覚えてしまう病気があります。
それは、ジベル薔薇色粃糠疹(シベルばらいろひこうしん)です。
一般の方にはなじみがない病気だと思いますが、皮膚科では年に数回診る機会があります。病名のインパクトとゴロの良さから私もすぐに覚えた病気の一つです。
名前の由来は、発見者のフランス人皮膚科医のジベル医師によります。最初の報告では、皮疹はピンク色であったことからバラ色が名前に加わりました。しかし、これはジベル先生がフランス人であったためであり、白人ではバラ色に見えるこの皮疹も日本人では茶色にみえます。病名の最後につく粃糠疹とは、赤いブツブツの上にフケのようなカサカサがある状態を言います。