阪神・大山悠輔 (c)朝日新聞社
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 2020年、阪神大山悠輔が覚醒を遂げた。

【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!

 タイトル獲得こそ逃したが、ここまでの活躍を誰が予想しただろうか。虎に現れた久しぶりの和製大砲。来年以降の飛躍にも期待が高まるが、不安も同居している。

「近本(光司)にも2年目のジンクスがあるのかと思う時期もありましたが、盗塁王も2年続けて獲り、走攻守すべてにおいてレべルアップしてくれました。大山は開幕から少し出ていない時期の悔しさをバネに、ホームラン王を争うところまで成長してくれました」(阪神・矢野燿大監督)

 11月12日、矢野監督がオーナーへのシーズン終了報告を行った。その際、近本と大山の2人の名前を挙げて、最大限の評価をした。

 昨年、盗塁王を獲得するなど1年目から結果を残した近本は、序盤こそ苦しんだが、シーズン途中から成績を上げ2年目のジンクスを見事に跳ねのけた。一方大山は、開幕当初は控えに回ることが多かったが、7月5日の広島戦から4番に座るとそこから大ブレークを果たす。最終的に116試合に出場し、打率.288(リーグ11位)、28本塁打(リーグ2位タイ)、85打点(リーグ3位)と見事な成績をマーク。本塁打と打点のタイトルまであと少しと迫った。

 阪神における本塁打王は、50年の2リーグ分裂以降5人誕生している。藤村富美男(53年27本)、藤本勝巳(60年22本)、田淵幸一(75年43本)、掛布雅之(79年48本、82年35本、84年37本)、ランディ・バース(85年54本、86年47本)。

 大山の28本という数だけ見れば、過去に本塁打王となった阪神OBたちに比べ少なめだ。しかし19年の14本が最高だった数が今年は一気に倍増。コロナ禍で試合数自体も、120試合に減り、開幕延期など悪条件が重なった中でのこの数字には価値がある。

「大山は遠くに飛ばすという部分がある。右の大砲と言われるようなバッター。かといってタイミングを崩された時も対応していく。柔らかさがある」

 入団初年度の新人合同自主トレ、当時2軍監督だった掛布雅之氏が大山の能力を絶賛していたが、今年はそれが結果として現れた。

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地道な練習がついに実を結んだ今季