入社式まであとわずか。まだ内定がない学生は、すでに諦めモードかもしれない。だが少し待ってほしい。実はまだ多くの企業がすぐに働いてくれる新卒を求めている。
実際、今年卒業する4年生を対象とした「リクナビ2013」では、3月6日現在でもエントリー可能な企業が4511社、説明会を開催しているのは749社、うち説明会の新規受付を始めたのは171社もある。「リクナビ」ではこの時期に新規の受付をする企業は例年2けたくらいなので、今年はまだチャンスが多い。
とはいえ、通常なら4月1日にある入社式までに、スピーディーに行動しなければならない。押し迫ったこの時期からでもできることは何か。
まずは大学の就職課や新卒応援ハローワークなどに足を運ぶことだと専門家は口をそろえる。日本大学商学部就職指導課の鎌田文一さんは言う。
「遠回りに見えても、就活の心構えから履歴書の書き方、面接の受け方まで、それまで内定が決まらなかった原因を洗い出し、一緒に改善点を探すところから始めます。企業選びでは、学生が重視したがる『みんなが知っている』ではなく、『業界内でシェアが大きい』などの尺度を紹介し、視野を広げる手伝いをします。応募する職種の理解を深める手助けも我々の仕事です」
就職課に企業が出す求人は、「この大学の学生が欲しい」と狙いが定まっているケースが多いので、マッチングする可能性が高いという
もっとも、大学によって就職課の支援の手厚さにはバラつきがある。手ごたえが得られない場合は、自治体が主催している就職支援事業に応募するなど様々なアプローチを試すことだ。また、就職事情に詳しいHRプロの寺澤康介社長は言う。
「中小企業を中心に、採用意欲はあるのに人材を確保できなかった会社は多い。気になる企業があれば、直接メールや電話で問い合わせるのも手です」
HRプロでも、昨年から4年生向けに求人を出し、説明会を開いた。一定数の応募はあったものの、社風に合いそうな学生は少なく、今年は採用を打ち切るつもりだった。しかし、この3月に入って関西の4年生から「まだ新卒採用を行っていますか」と電話がかかってきた。すぐに電話で面接し、後日選考する運びとなったという。
「4年の秋、ゼミの指導教官が他大学に移ることが分かって院に進学する意欲がなくなり、突然就活をすることに。興味を持った企業に『選考を受けたい』と直接メールをしたところ、すぐに面接を受けて内定をもらった」(27歳・女性)など、行動力が実を結んだケースはままある。
インターネットの使い方も工夫できる。2011年にリクルートがはじめた「リクナビダイレクト」は、サイトに掲載されている企業に応募すると、筆記試験や書類選考なしで説明会に参加できたり、面談をしてもらえたりする。企業の担当者に直接会えるため、相性がよければすぐに採用されるケースも。
※AERA 2013年3月18日号