■保険適用までは助成を増額。「出産育児一時金」の増額はいったん見送り
これに対し、政府は22年に不妊治療の保険適用を拡大する方針を打ち出しています。険適用外となっている体外受精や顕微授精の保険適用を21年に検討するとの内容です。
保険が適用されるまでの期間は助成の金額を見直し、治療の初回だけでなく2回目以降の治療への助成額も30万円に倍増される方向です(採卵を伴わない凍結胚移植などは1回10万円)。
また現在「最大6回」としている助成の回数も、「子ども1人で最大6回」に変更、2人目の子どもが欲しい人が不妊治療を受けやすくする内容になっています。さらに夫婦で730万円未満の所得制限は撤廃するとされています。
特定不妊治療を保険適用したとしても、それ以外に不妊治療には自由診療となる治療法・薬剤も多く、現状では保険治療と自由診療を併用する「混合診療」はすべての治療が保険適用外になります。これについても柔軟な対応が検討されているようですが、混合診療には慎重な意見も多いので、将来の治療を考えている人は推移を確認してください。
保険適用となれば、費用面での負担が大幅に減り、今までに比べて格段に治療を受けやすくなりますが、今年も引き続き先の予測が難しいコロナ禍での予算編成もあり、これからも内容について注目していく必要があります。
なお、健康保険、国民健康保険の加入者であれば、出産後に42万円受け取れる「出産育児一時金」についても増額されるとの期待もありましたが、これについて厚生労働省は今年度での変更は見送っています。出産に必要な費用の増加傾向を確認して額を再検討するとの方針です。
■4月からは「70歳定年制」が企業の努力義務に
次は、高齢者への対応です。
前回の連載で、75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担について、単身世帯で年収200万円以上は2割負担へと変更と書きましたが、「高額介護サービス費」についても21年4月から年収約770万円を超える所得者(世帯)の負担上限額を引き上げることが決定しています。