10年前からアトランティックサーモンが出回ったという時期と、9年連続でサーモンが1位というのと合致する。味だけでなくバリエーションの強みもサーモンにはあると米川さんは言う。

「元々出回っていたトラウトサーモンが使われなくなったかというとそんなことはなくて、回転寿司のメニューで炙りサーモンだとかチーズサーモンにはトラウトサーモンが使用されているんですね。サーモンのバリエーションって大手回転寿司だと10種類くらいはある。いろんなバリエーションがつく寿司だねっていうとサーモンが圧倒的。例えば照り焼きチーズサーモンなんて、もうなにがなんだかわからないネタですよね(笑)。お店の側も非常に使い勝手がいいし、お客様からしてもいろいろ変わったものも食べられて、“サーモンが飽きない”と言われるのはそこなんですよね。普通の生サーモンがある、とろサーモンがあり、焼きハラスがある、オニオンサーモンがある、炙りサーモンがある……サーモンが好きな人って、サーモンの中でもバリエーションを変えて食べられるのを楽しんでいますね」

 また、日本人独特の嗜好からもサーモン人気がうかがえる。

「普通のサーモンの次に人気があるのはとろサーモンだと思うんですけど、日本人って脂がのっているというのが美味しさに直結しているんですね。だから、とろサーモンみたいに脂がのっているものは無条件ですごく美味しいと思ってしまうんですよ。マグロであるとかブリであるとか脂ののっている魚を食べ慣れているせいか、脂がのっている=美味しいという感覚がすごく働きやすいんですね。とろサーモンの脂ののりというのは寿司ネタの中でもものすごく高い方で、より美味しく感じられるんです」

 味も大事だが、食べ慣れているものというのもポイントだそう。

「回転寿司だと、皆さんどうしても食べ慣れたものを食べるという傾向がものすごく強い。名前を聞いたことがない魚って売れないんですよ。一般の人にボラとか言われても“なんだよ、そんな魚、見たこともないぞ!”って(笑)。サーモンが回転寿司に登場する前は、食べ慣れたものといえばマグロだったんです。いまは、サーモンのほうが食べ慣れている感が強く、とにかく身近なんですよね」

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