自民党の稲田朋美衆院議員(写真提供=笑下村塾)
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たかまつなな(右)の質問に答える稲田朋美(写真提供=笑下村塾)
たかまつなな(右)の質問に答える稲田朋美(写真提供=笑下村塾)

 自民党の稲田朋美衆議院議員といえば、安倍晋三元首相に重用され、2016年には防衛相に就任した「保守政治家のホープ」だった。だが、17年に南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊の日報問題をめぐり、陸上自衛隊が「廃棄した」と説明しながら保管していたことが発覚し、防衛相を辞任。自民党で女性初の首相を目指していた稲田氏にとって、政治家人生における大きな挫折となった。

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 以後は、その活動範囲を広げ、シングルマザーへの支援などリベラルな政策にも積極的に取り組むようになった。はたして、保守だった稲田氏がリベラルに寄ったのは支持層を広げようという政治家としての“戦略”なのか。時事YouTuberのたかまつななが、稲田氏に紹介された和食店で、ざっくばらんに本音を聞いた。

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――最近、稲田さんはすごく変わった印象があります。伝統的な家族観を大事にする自民党に所属していて「保守」のイメージがとても強いですが、シングルマザーへの支援などにも力を入れています。自民党の家族観とは違うのではないかと思って驚きました。

稲田:私は自分では保守だと思っています。国家とか安全保障とか憲法改正とか、そういうところは保守だと思いますし、どちらかというと非常に「右」だと思います。でも一方で、人権とか女性の活躍とかシングルマザーの問題とか貧困の問題とか、そういう問題はすごく気になるし、重要な問題だと捉えています。

――周りからは、急にリベラルな政策をやり出したと見えるかもしれません。なぜ変わったんですか?

稲田:変わった部分はあります。それも含めて自分だと思うので、変わるということはそんなに悪いことだと思っていません。なぜ変わったかというと、防衛大臣をやらせていただいた1年で、大きな挫折をしたからだと思います。すごく順調な政治家としてのキャリアの中で、完敗でした。そういうときに、順調に行かない人とか疎外感を感じる人の気持ちがわかるようになって、そこで自分ごとになったんですよね。あれほどの大きな挫折は人生で初めてです。

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根強い自民党内の「伝統的家族観」