ARMYの中でも、豊富な資金源を元に、スケール違いの活動を展開するのが、メンバーのVを応援する中国最大の団体「CHINA Baidu Vbar」だ。20年のアルバム共同購入枚数は22万枚。各種団体への寄付額は12億ウォン(約1億1400万円)に達したという。コロナ禍には、中国・武漢の医療機関に7万枚の医療用マスクと医療物品を輸送する支援活動を行った。
20年12月30日のVの誕生日には、80日あまりで12億ウォン以上を集め、韓国内で大手コスメ・ドラッグストア系の326店舗内スクリーンに誕生日広告を出稿し、大手コンビニ・スーパー系列4360店舗内スクリーンをジャックした。中国では貧困地域と農村地域の教育環境改善を進めるプロジェクトに参加し、Vの本名を冠した「テヒョン希望小学校」を建てるための50万元(約760万円)を寄付した。このような「CHINA Baidu Vbar」の活動には、韓国のARMYたちも一目置いている。
■いつでも立ち上がる
そして、応援するだけではない「見守り活動」がARMYの大きな特徴とも言える。
20年12月14日、韓国のARMYたちがBTSの所属事務所BigHitエンターテインメントが入るビルの前にアドトラックを配置した。大晦日に開催予定の「BigHitレーベルコンサート」反対と21年放送予定のドラマ「YOUTH」の制作中断を訴えた。コンサート反対は、合同コンサートへの出演を問題視したもの。「YOUTH」は、BTSの曲の世界観をドラマ化したものだが、俳優が演じる主人公たちの名前にメンバーの実名が使われるという。ARMYは「メンバーの実話をもとに作られるドラマではないにもかかわらず、本名を使用するのは的確ではない」と怒ったのだという。
ARMYは「物言うファン」だ。その根底には、「BTSの名を傷つけることはたとえ誰であっても許さない」という信念がある。BTSの向かう方向性に疑問を感じれば遠慮なく不満をぶつけ、立身出世に不都合だと思えば、いつでもどこでも立ち上がる。ファンだからといって、妄信的に全てを愛する“お花畑”ではない。
日本でも、18年に秋元康氏とコラボしようとしたところを韓国のARMYたちが強く反発し、発売直前で白紙になったことがあった。また、「ホルモン戦争」など、メンバーが作詞に携わった5曲の中に女性蔑視の歌詞が含まれるとして批判し、事務所とメンバーを謝罪に追い込んだこともある。BTSが世界的に活躍できる背景には、メンバーたちのプロ意識の高さはもちろん、このようなARMYの“見守り”のおかげも大きい。