「応援広告」もその一つだ。これは有志でお金を出し合って、地下鉄の構内やバスラッピング、ビルの電子広告枠を買い取り、タレントを応援する広告を打つK‐POP伝統のファンダムだ。誕生日を祝う「誕生日広告」はその代表。最近では、SNSを通じ世界中から莫大な資金が集まる。“世界一広告料が高い”と言われるニューヨーク・タイムズスクエアでの誕生日広告も、もはや毎年の恒例行事。20年10月のJIMINの誕生日には、世界最大級のショッピングモール「ドバイモール」に誕生日広告が出た。
このようなARMYによる自主的全方位マーケティングは、人々がBTSの情報を多く目にする「単純接触効果」を生み、新たなARMYを作り出す。その循環はやがて大きなうねりとなり、BTSをワールドスターの座にまで押し上げたのだ。
■環境保全の森を贈る
次の特徴が「善行」だ。20年12月、BTSはTIME誌が選ぶ「エンターテイナー・オブ・ザ・イヤー」に選出された。「若者の社会運動の象徴となった」のがその理由だ。
BTSは社会貢献に積極的に取り組むグループだ。ARMYもまたそれに追随する。20年6月には所属事務所とメンバーがともに、黒人差別に異議を唱える「Black Lives Matter」運動に賛同し、100万ドル(約1億1千万円相当)を寄付した。するとそれを知った有志のファングループ「One in an Army」はすぐさまオンラインの寄付プロジェクトを立ち上げ、BTSの寄付から1日経たずに、同額の100万ドルを集めた。
また、RMの誕生日の時には、環境保全に関心の高いリーダーRMのために、250人の有志が集まり、韓国・ソウルにRMの名前を冠した森を作り、プレゼントの代わりとした。17年に始まったユニセフとBTSの児童・青少年に対する暴力根絶キャンペーン「LOVE MYSELF(私自身をまず愛そう)」には、32億ウォン(約3億円)を超えるARMYからの寄付が集まったという。
BTSとともに善行を行う。BTSの名のもとに善行を行う。その良心的行動はARMYたちの心を満たすだけでなく、BTSの社会的なイメージアップにも貢献している。