なのに、ある日、団長から「マンションを出ろ!」って、突然言われたんだ。
どうやら、そのマンションは、あくまで一時的な住まいのためであって、次に入ってくる後輩芸人たちに譲らないといけなかったみたい。
引っ越すのがすっごい嫌だったんだけど、団長の「圧」がとにかくすごかったから、不動産屋を紹介してもらって渋々部屋探しを始めた。
ネタ合わせを頻繁にさせられるのが嫌だったから、団長やHIROくんとできるだけ離れた場所に住みたかったのに「ネタ合わせがしにくいから近くに住め!」って言われて、選択に全然自由がなかったのを覚えている。
今のアパートを最初に見た時は「こんなボロボロの家に住むの?」って、愕然とした。4階建てなのにエレベーターもないし、「なんだここ…」って。
アパートに行くまでの道のりはすごい雰囲気が良かったんだ。高級住宅街だし、静かだし。「こんな場所に住めるなら良いなー」って思っていたのに、角を曲がった瞬間、急に古い建物が出てきて、「え?」ってなった。
話を聞いてみると、昭和30年代にできたらしく、当時ですでに築50年を超えていた。
正直「絶対断ろう」と思った。
でも室内を見てみたら、ちゃんとリフォームしてあって、すごくキレイでびっくり。トイレもユニットバスだったけど広いし、部屋も二つあるし、よくよく考えると家賃も破格の値段だった。
結局、女の子を好きになる感覚と同じで、ギャップにやられちゃって、ここに住むことに決めた。
●こんなストレスは2度と味わいたくない
住む場所は決まったけど、ここからが大変だった。
ボクは、引っ越しの経験なんて、ほとんどなかったから、準備らしきことをまったくやってなかったんだよね。トラックの用意だってしてないし、ダンボールに荷物を詰める作業もほとんどやってなかった。さらに、不動産屋さんにもらった新居の住所が書いてある用紙もどっかに失くしちゃってた。
そんなボクを見かねて団長がついに激怒。
結局、松竹芸能が借りているマンションを出なきゃいけない日の前日の夜遅くに、団長やHIROくん達が引っ越しを手伝ってくれることになった。
ほんとうにズボラなんだよね、ボクは。みんながいなかったら、絶対引っ越しできていない(笑)。