新型コロナウイルス感染症の影響による倒産・解雇で離職・雇い止めを余儀なくされた場合は、60日間給付日数が延長されます(35歳以上45歳未満の人で所定給付日数270日、45歳以上60歳未満で所定給付日数330日の人は30日)。

 また会社都合のリストラや倒産による失業の場合は離職後すぐに給付を受け取れますが、自己都合での退職の場合は給付制限期間が置かれ、その間は給付を受けることができません。
 
 これが特例措置により以下のような新型コロナウイルスが原因の退職の場合は給付制限なしに受け取ることができるようになっています。

・同居の家族が新型コロナウイルス感染により看護・介護が必要になった
・本人の職場で感染者が発生した
・本人または家族に基礎疾患がある、妊娠している、高齢者がいるなどの理由で退職した

 コロナ禍による失業・離職の場合は、かならずハローワークでその旨を相談してください。

■失業給付は契約社員、パート・アルバイトでも受給可能

 失業給付は契約社員、パート・アルバイトで働いている人も条件を満たしていれば受け取ることができます。労働者が以下の条件で働いている場合は、企業は雇用保険に加入させる義務があります。
・1週間の所定労働時間が20時間以上であること
・31日以上雇用される見込みがあることなど
 
 アルバイトをしている人は、この機会にしっかり雇用者に確認をしてみましょう。条件を満たしているのに雇用保険未加入のケースが多々見受けられます。

■賃金が支払われないまま会社が倒産! そんなときの保障は?

 現在、国や自治体は、企業への支援制度を打ち出しています。ただ中小企業では、急激な環境の変化に運転資金が枯渇し、給与を支払えないまま倒産ということもあり得ます。そんな場合は、中小企業を対象とした「未払賃金立替払制度」を活用すれば、労働者健康安全機構が未払い賃金の一部を立て替えてくれます。適用される条件は、1年以上その企業に勤務していたことと、企業が裁判所に倒産の申し立てを行った6カ月前から2年の間(倒産後1年半まで)に退職したことです。
 
 これを利用すれば、未払い賃金の80%が立て替えられます。ただし以下の上限があります。
退職日における年齢            立替払限度額
30歳未満                          88万円
30歳以上45歳未満             176万円
45歳以上                           296万円
注:役員報酬や賞与などは立て替え払いされません。

 申請書や詳しい申請の流れなどは労働者健康安全機構のサイトにあります。

 次回も引き続き生活を安定させるための社会保障の基礎知識について解説したいと思います。

(構成・橋本明)

※本連載シリーズは、手続き内容をわかりやすくお伝えするため、ポイントを絞り編集しています。一部説明を簡略化している点についてはご了承ください。また、2021年1月14日時点での内容となっています。

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